坂道病院 小児科！2

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並木side

朝起きるとナースステーションの前のキャンドルにあかりが点っていた。
あれは誰かがなくなってしまった合図。
小児科だしいつもは騒がしい病棟も、この日ばかりは少し静かになる。

私も大人しくベッドの上で本を読もうかなとデイルームに本を取りに行くと机に男の人が突っ伏して泣いていた。きっと旅立った子のお父さん。私みたいな子供を見て刺激しないようなるべく視界に入らないように、本を取り病室に戻った。



それから1時間も立たない頃。
病室の外が何やら騒がしいことに気がついた。
おそるおそる廊下を除くと、そこに広がっていたのは
泣きながら暴れ回る男の人とそれを止めようとする作業療法士の川島さん。あの男の人は……さっきデイルームで泣いていた人だ。


ふと耳を澄ますと隣の部屋から泣き声が聞こえてくる。
男の人が反対方向を向いたすきに私は隣の病室へ滑り込んだ。
案の定病室の中では美青ちゃんと瞳月ちゃんが肩を寄せあって泣いていた。

並木「2人とも大丈夫だよ。いま川島さんが止めてくれてるから。」
的野「大きい音怖い……。」
並木「大丈夫大丈夫」

でも次第にその声は大きくなっていく。
あ、扉閉め忘れた。と気がついたのと川島さんを突き飛ばして来た男の人と目が合ったのは同時だった。

中山えりちゃんのお父さんだと気がついたのはその時が初めて。
えりちゃんは確か美青ちゃんと同い年の女の子……。

最悪の事態を想像して一気に背筋が凍った私は2人を抱きしめることしか出来なかった。

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