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Juri side
「2人とも遅かったじゃん…え？何なに、樹目ぇ真っ赤じゃん」
零れ続ける涙がおさまって、きょもに連れられて楽屋に戻る。
入るや否や、慎太郎につっこまれた。
「なんでもないからっ」
俺の一言に、「ずっとこれなの、」ときょもは困ったように笑う。
「daha!! 樹、人は何にもないなら涙も出ないよ。
こっちおいで」
扉の近くで立ち止まってた俺ときょも。ジェシーに諭されて、ソファーへと向かった。
他のみんなも近くに集まってきて。
対策のため、ある程度の距離を保ちながら。
「…っ…おれっ…昨日から、全然だめで、、」
5人の優しい眼差しに、少しずつ言葉が吐き出される。
「衣装の着替えもっ靴紐も、、全然っ1人じゃだめでっ……」
うん、うん、とみんな真っ直ぐ話を聞いてくれている。
その様子に、またも、視界が歪む。
「泣かなくていいんだって樹、」
少し笑いながら、隣にいたきょもがまた、背中をポンポン、と叩いてくれた。
「1人で出来ないことなんて皆いっぱいあんじゃん。
いつもの樹みたいに、『苦手だからお願い』って人に頼めれば何の問題もないよ。」
「だめ、なんてこと無いんだから」
慎太郎と高地の冷静なことば。
「…っ…ありがと、」
「aha! 樹、更に目真っ赤になっちゃったよ？」
「…ハッ…うるせぇっ…」
「やっと笑った、」
ジェシーにほっぺたをムニっと引っ張られる。
子供扱いされたみたいで、少しむくれて見せた。
「真っ赤な目じゃ撮影出来ないね。
おれオカベさんに少し待ってもらうように言ってくるよ」
そう言って楽屋を出て行った北斗。
北斗は特に声をかけてこなかったけど、それも俺と北斗らしいと思った。
「せーのっせーでっ」
『どーもーーSixTONESでーす！』
「さて、今回は……」
目の充血がおさまるのを待って、始まったYouTube撮影。
進行の俺の方に5人に視線が集まる。
思い思いのボケをして、「突っ込んで！」とでも言いたげなキラキラした顔で俺の方を見てくる5人。
そうだった。これが俺の仕事だ。
出来ないことばっかり見過ぎてた。
メンバーに頼ることは人より多いかもしれないけど、
この、ボケ倒す5人を捌けるのは俺だけであって欲しい。
いや、俺だけなんだ。
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作者名：じんべえ
| 作成日時：2020年7月8日 18時
