優しい世界［5］ (ページ37)

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Hokuto side

「どーも、SixTONESです！」

白い壁をバックに5人でカメラの前に立つ。

＂SixTONESです＂と名乗るには、ずっとずっと明らかにピースが足りていなくて。
だけどもう、今日からはそうじゃない。

なかなか本題に入らずにボケ倒すジェシーに、突拍子もないことを話し出す京本。それにヘラヘラ笑ってる慎太郎と、ツッコむことすら辞めて静かに終わるのを待つ高地。

まとめ役は俺じゃない。
「あーっもう！こいつらまとめるの俺にはムリ！」
少し声を張って俺がそう言うと、一斉にみんな黙ってニヤニヤし始めた。

カメラのすぐ後ろで待つ樹をジェシーが迎えに行って。
クラッチはその場に置いて、肩を組みながらゆっくりこちらにやってくる。

「もう1回、改めて6人でちゃんと挨拶しよーよ。」

そういう粋な提案をするのはいつも京本だ。
さっきまで意味不明なことを1人で話してたくせに。
これだから敵わない。

「じゃあ改めて。」

「どーも、SixTONESでーす！」
うん、そう。これが完成形。

「ということで、僕らSixTONESからご報告があります。
はい、あとはじゅりから！」

FCへ向けた、樹の復帰報告動画の撮影。

樹が事故で大怪我をして休養に入ってから約1年。
ハードなリハビリも乗り越えて日常生活も落ち着いてきた、このタイミングで、事務所とも話し合いを重ねて復帰を決めた。

始めてみなければ分からないことも沢山あるし。
様子を見つつ、活動の幅を広げていければいいだろうと。

復帰はゴールじゃなくて、スタートでしか無いけれど。
それでも6人全員で並んでカメラの前に立つ、今この瞬間が、堪らなく愛おしくて涙が出るほどうれしかった。