重度難聴 / 黒 ページ28
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重度難聴の黒くん(12)
幼なじみの他メンさん5人(12)
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Hokuto side
クラス皆が頭を下げたのを見て、
自分も合わせてぺこっと頭を下げる。
先生の話は口元を見てればなんとなく分かるけど、自分の席より後ろにいる友達の号令の声は分からない。
けど、そんなに大した問題じゃないんだよ。
周りのみんなの動きで大体気づけるからね。
ランドセルに教科書を詰めていると、
ﾄﾝﾄﾝｯと肩を叩かれて。
「かえるぞ！」
と じゅりの口が動く。
続いてこーちが、
「さっき配られたプリント、金曜までに提出だって」
と教えてくれる。
先生の話の中で、聞き漏らしちゃまずい所はこうやって、いつも念を押して、こいつらが教えてくれるんだ。
「あぃがと、」
とお礼を言ってランドセルを背負って。
昇降口には別のクラスの3人の姿。
大我とジェシー、そしてしんたろー。
おれたち6人、幼稚園からの長い付き合い。
俺とは違って5人にはそれぞれ他に仲良いやつらもいっぱい居るんだろうけど、なんだかんだ、下校するときも自然と6人で集まる。
俺らの下校風景は、
きっと、
騒がしいんだと思う。
ずーっと誰かしらの口は動き続けてるし、
体の動きだって、うるさいし。
その会話の全てを理解しようなんて思ってなくて、
ただ俺は一緒に並んで歩いて、
時々
「なぁ、北斗？」
と話を振られた時にツッコむくらい。
それが俺にはちょうど良くて、心地よくて。
聞き返せば何回だって言い直してくれるし、
俺が話すのを真っ直ぐな目で聞いてくれるから。
「んじゃあな〜」
「また明日！」
「ばいばーい」
1人、また1人、と別れていく。
学校から1番家が遠い俺は、最後は1人。
ドアノブに手をかけたけど、扉が開かない。
そうだ。今日はお母さん、帰りが遅いんだった。
うっかりしていた。
家の鍵はこの扉の向こうだ。
確か、6時まで仕事だったよな。
あと2時間、どっかで時間をつぶさなきゃ。
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作者名：じんべえ
| 作成日時：2020年7月8日 18時
