検索窓
今日:83 hit、昨日:37 hit、合計:239,974 hit

ページ16

Yugo side



「うぅわ、あっつっ… こりゃダメだ、、」

家の庭に停めてある車。
大我を乗せる前に空調を効かせようと乗り込むと、
あまりの暑さに声が出た。

ブワァーっと急速にエアコンを回して、空気を冷やす。
適度な温度にね。



「大我、じゃあ病院行こうか。」
「ん、」

体温こそ下がってはいないものの、昨日よりも怠さはないらしく、寒気もしていないよう。


「シート倒して楽にしとけよ」
助手席に乗った大我にタオルケットを掛ける。


いつもお世話になってる病院まで15分くらい。
決して近くはないけれど、先生や看護師さんが凄く良くしてくれて、よほど急でない限り、そこにお世話になっている。



走り慣れた道を進んでいる中聞こえてきた小さな声。
「っ…とぉちゃっ…」

隣を向くと、ギュッと手で口元を抑えている大我。


「吐くか!?」
口元の手はそのままにコクコクと必死にうなずく。
咄嗟にドリンクホルダーにかけてあるビニール袋を取って手渡した。


「そこに出しちゃっていいから。
ごめんな、すぐ停めるからな。」

事故を起こしてしまってはいけない。
落ち着いて、広めの道で路肩に停車した。



相当限界だったらしい。その一瞬の間に吐き出してしまっていた。

「っ…父ちゃんっごめんなさい、」
申し訳なさそうに謝る息子。

「謝ることないよ大我。
ちゃんと教えてくれて偉かったな。
酔っちゃった?」
もともと車酔いしやすい体質の大我。

「…ぅん、でも、もうへーき。」

「全部出せた?」

多分、と大我は少し笑って見せた。


受け取った袋を固く縛って鞄に入れていた他の袋で覆って。
お茶で口をゆすがせてそれも一緒に袋に。

スーパーの買い物のためにビニール袋を持ち歩いてたのが功をそうした。


落ち着いたところで、再び発車させた。いつも以上に乗り心地を重視した運転を心がけて。




「リンパの腫れも無いし、症状も落ち着いているし、心配は無いと思うよ。
ゆっくり身体休ませて、冷やしすぎたりしないように、栄養あるもの食べさせてあげてください。」

信頼できる人からの、安心させられる言葉。


しんどい中病院まで頑張ってくれた大我に、大好きなゼリーを買ってやって、家へと帰った。

もう少し、ゆっくり休もうな。
ゆっくりでいいよ。きみのペースで。



end_

全盲 / 黒→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (195 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
521人がお気に入り
設定タグ:SixTONES , 病系 , 障害
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:じんべえ | 作成日時:2020年7月8日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。