・ ページ16
Yugo side
「うぅわ、あっつっ… こりゃダメだ、、」
家の庭に停めてある車。
大我を乗せる前に空調を効かせようと乗り込むと、
あまりの暑さに声が出た。
ブワァーっと急速にエアコンを回して、空気を冷やす。
適度な温度にね。
「大我、じゃあ病院行こうか。」
「ん、」
体温こそ下がってはいないものの、昨日よりも怠さはないらしく、寒気もしていないよう。
「シート倒して楽にしとけよ」
助手席に乗った大我にタオルケットを掛ける。
いつもお世話になってる病院まで15分くらい。
決して近くはないけれど、先生や看護師さんが凄く良くしてくれて、よほど急でない限り、そこにお世話になっている。
走り慣れた道を進んでいる中聞こえてきた小さな声。
「っ…とぉちゃっ…」
隣を向くと、ギュッと手で口元を抑えている大我。
「吐くか!?」
口元の手はそのままにコクコクと必死にうなずく。
咄嗟にドリンクホルダーにかけてあるビニール袋を取って手渡した。
「そこに出しちゃっていいから。
ごめんな、すぐ停めるからな。」
事故を起こしてしまってはいけない。
落ち着いて、広めの道で路肩に停車した。
相当限界だったらしい。その一瞬の間に吐き出してしまっていた。
「っ…父ちゃんっごめんなさい、」
申し訳なさそうに謝る息子。
「謝ることないよ大我。
ちゃんと教えてくれて偉かったな。
酔っちゃった?」
もともと車酔いしやすい体質の大我。
「…ぅん、でも、もうへーき。」
「全部出せた?」
多分、と大我は少し笑って見せた。
受け取った袋を固く縛って鞄に入れていた他の袋で覆って。
お茶で口をゆすがせてそれも一緒に袋に。
スーパーの買い物のためにビニール袋を持ち歩いてたのが功をそうした。
落ち着いたところで、再び発車させた。いつも以上に乗り心地を重視した運転を心がけて。
「リンパの腫れも無いし、症状も落ち着いているし、心配は無いと思うよ。
ゆっくり身体休ませて、冷やしすぎたりしないように、栄養あるもの食べさせてあげてください。」
信頼できる人からの、安心させられる言葉。
しんどい中病院まで頑張ってくれた大我に、大好きなゼリーを買ってやって、家へと帰った。
もう少し、ゆっくり休もうな。
ゆっくりでいいよ。きみのペースで。
end_
521人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:じんべえ | 作成日時:2020年7月8日 18時