優しい世界［5］ (ページ13)

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Taiga side

「教科書の36ページ開いてくださーい。
今日は22日だから、出席番号22番の人から、まる読みで読んでいきましょう。」

国語の授業。
プールの後でみーんなウトウトしてる。

順番にクラスの人たちが教科書の物語を音読していくのを必死に集中して聞いていたけど、
なんだかどんどん寒気がしてきて、頭もボーッとして。

話の内容が頭に入ってこなくなった頃、

「大我？体調わるいの？」
隣の席の慎太郎の声が飛んできた。

「っ…さむい、」
身体も少し震えてきて、強がることなんてできなかった。

ｶﾞﾀｯと音を立てて慎太郎が席を立って、
「せんせー！高地くん体調悪いみたいなんで保健室連れていきます！」

「お、おう。高地、大丈夫か？？」
先生の戸惑った声に答える気力はなくて、僕は頭を下げた。

「行こう。大我」
慎太郎が体を支えてくれて教室を出る最中、
＂アイツまたかよ＂なんて言葉が何個も聞こえてきて。

「…ここでいーよしんたろ、ﾊｧｯ…教室戻って？」

「なんでよ、心配だよ。保健室、一緒に行こ？」

「…慎太郎まで、…変なこと言われちゃうっ」

「気にしないよそんなの。
間違ったことするやつと仲良くしたいなんて思わないし俺。それより大事な大我の心配したい、しちゃだめ？」

「…うぅ…」

「ふはっ…困らないでよっ笑
ほら、行こう？多分大我、体あついよ？」

同級生なのに、僕よりずっとおっきい体で、おっきい心で接してくれる。

「あらぁ、お熱出ちゃったね、
プールで身体冷えちゃったかしらねぇ、。
今日は早退にしましょうね。森本くん、荷物持ってきてあげてくれる？」

保健室のおばあちゃん先生。
着くなり熱を測られて、あっという間に早退に。

一旦ベッドに寝かされて、慎太郎が僕の荷物を取りに駆け出す足音と、先生が父ちゃんに連絡してる声とを聞きながら、気づかぬ間に夢の世界へ入っていった。

end_

ご愛読ありがとうございます。
虚弱体質の桃さんのお話でした！
随分お久しぶりの更新になってしまいました。
申し訳ありません( ; ; )
今後も不定期な更新になりますが、お付き合い頂けたら幸いです。
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じんべえ
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