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Taiga side



「おはよ!大我今日プール入れるの!?」

僕の持ったプールバックを見て、おっきな声で駆け寄ってくる慎太郎。



「うんっ入れるよ!」
「やっと一緒に入れんね!」

自分のことのように嬉しそうにしてくれる。


プールの授業が始まったのはもう1ヶ月くらい前。
だけど僕は、その頃丁度風邪をひいて。
何日も学校をお休みしたし、
学校に来れるようになってからも鼻水がなかなか止まらなくて、父ちゃんが許してくれなくて。
いつもいつも見学で、まだ1回もプールに入れていない。

だから今日はやっと授業に参加できる日。




「サボり魔、今日はプール入るらしいぜ?」
男子の更衣室の中で水着に着替えていると、コソコソ話が聞こえてくる。
クラスの目立ったやつら。学校自体も休みがちな僕のことをよく思わないらしい。

いつも見学のたびに「またサボりか」なんて馬鹿にされるから、それがすっごく嫌で。


「なんで大我がそんなしゅんってしてんの?
悪いこと何もしてないんだから、堂々としとけばいいんだよ」

慎太郎は強い。面白くて明るくて。だから、慎太郎の周りには人が集まる。
それなのに、こんな僕といつも一緒にいてくれる。
そして僕よりも、僕のことを大事にしてくれる。




「地獄のシャワーだーっ」
口々にみんなが叫んでる。

着替えが終わった僕と慎太郎も、列に並んでシャワーゾーンを通った。

この水が冷たくてつめたくて、みんながそれを地獄のシャワーと呼ぶ。
誰に教えられたわけでもないのにね。



シャワーで濡れた体に風が吹き付けて、体がぶるっと震えた。

「大我、寒いの?平気ー?」
タオルにくるまる俺と違って濡れたまんまの慎太郎。

「ん?んーん、まぁ平気だよ。
でもやっぱ冷たすぎだよねあれは」

「ははっ!そーね!笑」

おっきい声で笑ってそう答える慎太郎。
彼には地獄のシャワーもなんのダメージにもならないらしい。




「ほーい、始めるぞー番号順に並んでー」

先生がやってきて、水泳の授業が始まった。

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作者名:じんべえ | 作成日時:2020年7月8日 18時

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