優しい世界［3］ (ページ8)

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Hokuto side

体育終わり、
やっぱり双子だから、なんとなく分かるんだよね。
樹が何を思ってるかって。

まぁそれでも、俺が何かしなくたって普段一緒にいる奴らは、考えてか考えずにやってるのかは分かんないけど、樹を1人にさせないように、声を掛けてくれるし、それを受けて分かりやすく樹も嬉しそう。

いつからか、こうやって樹の様子を無意識に確認するのが俺の癖になっていた。

生まれた時がずっと一緒で、全部俺と一緒なんだと思ってた。

はっきりとは覚えてないけど成長も進んできて、なんで俺に出来ること樹は出来ないんだろう、いろんな場面でそんな風に思い始めた頃、母親から2人で話を聞かされた。

＂樹の足は動かすのがちょこっと苦手なんだ。＂

時間をかけて説明してくれた気がするけど、当時の記憶では、この言葉くらいしか覚えてない。

だけどその時、妙に納得した所もあって、じゃあ俺がいっぱい手伝えばいいんだって。そうすれば一緒にできることもいっぱいあるんだって。

そんな風に思った気がする。

俺と樹の性格は全然真逆だけど、モノの好みとか波長とかは合う所もあって、それ以来ずっと仲良くやってる。

リハビリがうまくいかなかったり、学校で少しバカにされたりして、家でこっそり泣いてた姿も見た。

俺や親の前では元気なふりして、1人で悩みと闘ってる姿に俺まで苦しくなったりした。

だからこそ俺は、大切な片割れの感情の機微に敏感になってるのかもしれない。

今までとおんなじ通り、一緒に大人になって、一緒に笑い合えていられるように、過ごしていきたいな、なんて。

きっとお互いの志望する進路は高校以降変わってくるだろうし、高校生活最高に楽しみたいね。

end_