優しい世界［3］ (ページ41)

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Hokuto side

"過換気症候群"

というものを発症してしまったらしい。

どうにもならない不安感から上手く呼吸ができなくなって、その恐怖感で更に胸が苦しくなって、気がつけば病院にいた。

先生からの問診を受けて、そう診断された。

問診の中には過呼吸などを最近起こしたことはなかった、なんて質問もあったけれど、それは図星で、
最近は過呼吸が癖のようになってしまっていて、しょっちゅうトイレに駆け込んでは呼吸を落ち着かせていた。

今日もそうしようとしていたら廊下で過呼吸を起こしてしまって、メンバーに助けられた。

原因は精神的な不安やストレスだと言う。

過換気症候群は繰り返すことが多いから、今後も大きな不安を感じる状況は避けるように、と助言を受けた。

一緒に先生からの診断を聞いてくれたマネージャーは、メンバーとゆっくり話し合ったらいい、とそう言ってくれた。

後日全てをはっきりと話した。

「……そういうわけで……これから、仕事、…難しいかもしれなくて、…」

「北斗はどうしたいの？」

ジェシーから問いかけに上手く答えられなかった。

「…仕事、休むのは嫌…けどっ…このままじゃ、また皆に迷惑、かけるだろうしっ…」

「周りのことは置いといて、北斗自身はどうしたい？」

「…逃げたく無い、
しんどいけど、今、ここから離れたら、もう戻って来れない気がするから…
やっとデビューしてっ、これからじゃん、」

ただのわがままだったかもしれない。

それでも受け入れてくれたのがメンバーだった。

「うん、ならそれでいいじゃん。
北斗が続けたいなら、そうしたらいい。
俺だって全力で支えるし、それは迷惑じゃ無いから。」

今思い出すと、そんな簡単なこと言うなよって思う言葉だけど、当時は本当に慎太郎のこの言葉に救われた。

それからは、自分の心と向き合いながら仕事を続ける日々が始まった。