優しい世界 (ページ44)

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Hokuto side

「あーーーっもうっ…」

朝からグループの仕事があって、その後はドラマの撮影が。

帰宅して気づけば日付は超えていて。

疲れもあるし、なかなか演技が思い通りにいかない苛立ちと。

自分でも笑えるくらいに心は荒んでいた。

水を飲もうとキッチンへ向かうと、そこには当然食材があって。

食事制限をしてるから最近は我慢我慢の日々だったのに、俺の中の何かがﾌﾟﾂﾝｯと切れた。

その場に座り込んで目に入った食べ物たちに片っ端から食いついて、無我夢中でお腹に入れた。

ストレスが溜まりすぎていて、何故だか今はそうしなくてはいられなかった。

「…はぁ…」

ひと通り食べ終えて、ふと我に帰る。

純粋に満腹をとうに越しているし、周りに広がる残骸に驚いた。

と同時に太ってしまう恐怖に襲われる。

「だめっ無理っ…」

急いでトイレに駆け込んで喉に手を突っ込んだ。

苦しくて、気持ち悪かったけど、食べたものを吐き出せたことに安心感を覚えた。

こんなこと、おかしいなんて分かってるけど、ひたすらにただただ無心でものを食べている時の悩みから解放される快感が忘れられなかった。

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