優しい世界 (ページ29)

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Yugo side

「お疲れ様でーす」

定時を過ぎて1時間くらい残業をして、退社した。

冷蔵庫の中にいろいろ余り物あったよな～
俺1人分の食材くらいはあるか～

なんて考えながら電車に揺られ、買い物は必要ないと判断して直帰した。

適当に炒め物とお味噌汁を作って冷凍してあったお米を解凍して、のんびりと夕食をとった。

ひとりだとあまりに静かだ。

溜まっていた洗濯物をなんとか片付けて、時計を見ると既に23時。

よく飲みにもいってるし、遊び歩いてる樹だけど、意外とマメな所があってこの時間まで家にいない時は朝帰るとか終電には間に合わせるとか、わざわざ連絡をよこしてくるんだ。

でも今日は来ていない。

なんだか嫌な予感がして、樹に電話をかけてみた。

何コール目かで、電話に出てくれて、

「あ、もしもーし樹？今日は泊まり？」

すると衝撃的なことが。

＂すみません、高地樹さんのご家族ですか？＂

樹のスマホにかけたのに、聞こえてきたのは知らない人の声。

「…あの、」

＂失礼いたしました。～総合病院のものです。樹さんが事故に遭われて救急でこちらに運ばれまして、ご家族に連絡を、と思っていた所なのです＂

「え…樹の兄です。樹は、樹は！？」

＂医師から詳しいお話をさせて頂きたいので、こちらに来ていただくことは出来ますか？＂

「はい、今すぐ行きます！」

生きた心地がしなかった。

とにかく一心不乱に車を走らせて、病院へと向かった。

お酒を飲んでいなくて良かった…

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