優しい世界 (ページ12)

今日:89 hit、昨日:54 hit、合計:390,514 hit

・ページ12

Shintaro side

「…着いた？」

俺が立ち止まるとそう聞いてきた兄貴。

「うん、左曲がるね。」

扉を開けて中へと進む。

やってきたのはアメリカンな雰囲気の少し洒落た居酒屋。

ネットで見つけて気になってたんだよね。

大学の友達と来るような雰囲気でもなかったから、兄貴を誘ってみた。

「んー、もしかして中も薄暗い？」

「あ～うん少し。見えにくい？」

「…おん、ちょっと。」

「…ごめん、」

「ハッ！謝ることじゃねえよ。少し手貸してな？」

「分かってる。ありがと」

おしゃれ目の雰囲気だから店内も暗めで。

樹は夜盲の症状もあって、暗いところだと更に見えにくくなるらしい。

既に暗くなったここに来るまでの道も、
ほとんど何も見えていない、と言っていた。

「慎太郎適当に決めて頼んで？」

「ん～どうしよっかな～」

メニューを見るのは厳しいようで、注文を任された。

なんとなく選択肢を作りながら樹にも決めてもらって、一通り注文をした。

あっという間に頼んだものは揃って、俺が樹の分も取り分けながら食事を進める。

.