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「分かってもらえないと思うけど…」
「じゃあ行こう!」
「聞いてる?それに親、仕事でまだ帰ってきてないし…」
「大丈夫ー大丈夫ー待ってるから」
この人空気読めないの?って言うか日本語分かってる?
明らかに迷惑だって言ってるのが伝わらない。
結局意味がわからないまま、先生?は家までついてきた。
「…ただいま」
「お邪魔します〜」
「…誰も入って良いって言ってない」
なんなのこの人!あまりに失礼すぎない?僕はイライラが止まらない。
「ん?あっそうだご両親帰ってくるまで時間あるしなんか聞きたい事ある?異能のことでも、学校のことでも」
「へっ…?」
でも、その言葉には惹かれた。聞きたいことは一杯あったから。
「質問ない?誰にも話してないんでしょ?まぁ俺が答えられる範囲でになるけど」
「…いいの?」
この人を受け入れた訳じゃないけど、質問はしたい。
「うん」
「じゃあ…異能力者って何?」
「君や俺みたいに異能を持ってる人のこと」
「…いや、それは分かってる。何するの?学校卒業した後、普通の生活が待ってるとは思えない」
「あっ、そういうことね〜」
と今までイラッとするぐらい軽ーく喋っていた先生の口調が変わった。
「智は“魔物”って知ってる?」
ちょっと真剣な口調にすっと背筋が伸びた。僕は知らないと首を振る。
「魔物っていうのは人の憎しみから生まれる物。大抵真っ黒くて、憎しみが深ければ深いほど大きい。それを異能力者の俺たちで祓ってる。ついでに言うと、暁学園は異能を持った子供たちにそのやり方を教えるのが役割。一般の人には隠されてるけど国のお偉いさんは知ってる」
「…なるほど。手紙に書いてなかったけど、あの手紙が来た時点で異能力者として国の為に働けってことね…」
「まぁ…ざっくり言うとそうだね」
「じゃあ魔物を祓わなかったらどうなるの?」
「神隠しが増える」
「はっ?神隠し?」
「まぁ、神隠しって言うか行方不明者だけどね。そういう人って本当は魔物に喰われてるの。魔物は憎しみから生まれるって言ったじゃん?で、その生まれた魔物は誰もが持っている憎しみを人間ごとを喰らって生きてる」
「まじか…」
「うん、他質問ある?」
と先生が聞いてくれたが、思ってたより深刻な話で情報が多すぎて頭がついていかない。
…いつの間にかイライラとしていたのも落ち着いていた。
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作者名:紀衣 | 作成日時:2021年1月11日 21時