59.汗を拭く。 ページ12
外の空気は建物の中よりいくらかマシだった。
海の中よりは熱いけど。
入り口付近の壁を背に座り、空気を吸う。
あんな中で動き回れる人間ってすごいなぁ…と先ほど見た光景を思い出していた。
みんなかっこよかった、キラキラしていた。
僕も部活やろうかな…とぼんやり考えていると誰かが出てきたのでそちらを見上げる。
フロイド「急にいなくなるからびっくりしたんだけど」
A「フロイドさん…」
フロイドさんが僕を見下ろしている。
きちんと汗を拭いていないのかポタポタと髪の毛から滴っていた。
A「汗、拭かないんですか?」
エースくんはタオルで汗を拭いていたし、拭いたほうがいいんだろうなと思って問いかける。
すると、フロイドさんは僕の隣に座り、タオルを差し出してきた。
僕はタオルとフロイドさんを交互に見て首を傾げる。
フロイド「A、拭いて?」
フロイドさんがまるで子どものように微笑みを浮かべて言うものだから、僕はタオルを受け取るしかなかった。
他人の髪の毛なんて拭いたことないし、ちゃんとできるかな?と不安がよぎり、少し震える手でタオルをフロイドさんの頭に被せる。
そして、優しく髪の毛を拭いた。
フロイド「んー、きもちいー」
どうやら痛くはないらしい。
フロイドさんの言葉に安心した僕はそのまま優しく拭き続けた。
首筋まで汗が流れていることに気づき、次にフロイドさんの頰を包むように拭く。
必然的に僕がフロイドさんの顔を僕の視線に合わせるような形になる。
フロイド「ねぇ、A、それってわざと?」
両手首を掴まれた僕は驚き、タオルを落としてしまい、何か悪いことをしてしまったのかと焦った。
A「ご、ごめんなさい」
フロイド「なぁんもわかってないんだぁ…あんま煽ってると人間にも喰われるよ?」
フロイドさんの言葉を必死に理解しようとしているうちに掴まれた手首がそのまま壁に押し付けられ、壁とフロイドさんに挟まれる形になる。
あれ、この展開…前にもあったような…。
なんて、頭の中は冷静だった。
A「フロイドさん?離してください」
腕に力を入れて動かそうとするが全く動かせなかった。
無言のフロイドさんの顔がどんどん僕に近づいてくる。
僕の頭の中では本能が危険だと警鐘を鳴らしていた。
ガリッ…
A「…っ!」
フロイドさんは僕の唇に咬みつく。
軽い痛みと血の味が口の中に広がった。
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なすてん(プロフ) - ムクロさん» コメントありがとうございます!ストレートなお言葉ありがたいし、嬉しいです(´;ω;`)もっと好きになってもらえるように頑張ります! (2020年6月28日 23時) (レス) id: 7c2e5224a1 (このIDを非表示/違反報告)
ムクロ(プロフ) - 好きです((( (2020年6月24日 14時) (レス) id: 1f680d1d0e (このIDを非表示/違反報告)
なすてん(プロフ) - 可憐さん» コメントありがとうございます!エースくんにはわりと健全な男子高校生してもらいたい欲望であんな感じになってますw間違いなく素敵な彼氏になってくれます!w最後までお付き合いいただけると嬉しいです(><)よろしくお願いします! (2020年5月22日 22時) (レス) id: 7c2e5224a1 (このIDを非表示/違反報告)
可憐 - 彼氏力高過ぎる、エースくんめちゃくちゃ好きです、、、、ずっとみます!更新頑張ってください! (2020年5月21日 1時) (レス) id: aaa6925eed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なすてん | 作成日時:2020年5月14日 17時