拝啓、僕が歩んだ日々へ (ページ1)

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亡者の星ページ1

鬱々と響くお経に時々混じる泣き声
黒と白しかない部屋
そして白木の箱に横たわる自分の身体を見て、ようやく理解した

「あ、おれ死んだんだ」

さしたる動揺も混乱も無く心にストンと落ちたその事実に拍子抜けする
もうちょっと何かあるだろ、嫌だとかどうしてとか

想像していたよりも随分と呆気ない人生の幕切れは、こうして見ると酷く滑稽なものだった

「………ん？」

待て、何かおかしい
一度気付けば最後、とてつもない違和感が体中を駆け巡る

俺は死んだ
それは確かだ
だってここから見る限り顔に生気は無いし、周りの人間だって悲しんでいる
よっぽど質の悪いドッキリでも無いのなら、俺は確実に死んでいる

「あ、れ？」

ーーーここから、見る限り(・・・・)？

俺は死んで、その身体は棺の中
ならば俺はどうやって
どうやってこの光景を見ている？

そもそも死んだ人間にこうやって意識があることがおかしい
俺の脳みそは身体と共にその役割を放棄しているはずだ

おかしい、おかしい、おかしい
何もかもおかしい

まだ意識があること
この光景を俯瞰で見ていること

俺は今、何なんだーーー？

「やぁぁあっと気付いたんだねえ。自分がどういう存在か」

「生きていない。死んでもいない。限りなく中途半端な今の君。どう、自分の死体を見た気持ちは？」

「なになにびっくりしちゃって声も出ない？情けないなぁ大の男が。それでも私より長生きしてたの？」

「……ちょっといい加減何か言ってよね。聞こえてんでしょ？ほら返事してよ」

やけにふてぶてしい口調でマシンガントークをかます声に無関心を貫くことも出来ずつい見てしまった

その、無遠慮で美しい声の主を

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