*探求 ページ38
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「ま、とりあえず先に進もうか。」
イルミさんは私の顔面から手を離すと、くるりと向きを変えて歩き始めた。どこまでもマイペースだなこの人。
足の長いイルミさんは進むのが早いので私は軽く駆け足で追いかける。決して私の足が短い訳では無い。ただ歩幅が狭いだけだと声を大にして主張したい。
「あの、どこに向かってるんですか?」
ととと、と駆け足のまま問い掛ける。
イルミさんはチラリとこちらに視線を寄越すと
「出口に決まってるでしょ。」
とぶっきらぼうに答えた。
デスヨネー。
しかしその冷たい対応とは反対に、私が駆け足になっていることに気付いた彼は歩幅を狭くして進むペースを落としてくれた。おかげで私が普通に歩いても追いつける速度になった。
…なんだ、優しいとこあるじゃないですか。
廊下を迷いなく進む彼の足元からは、流石ゾルディックと言うべきか、足音が全く聞こえない。決して褒められた職業ではないかもしれないけど、暗殺者ってすごいなぁ。
「あ、そーだ。一つ質問良いですか?」
私の三歩程先を歩くイルミさんに問い掛けると、何?と返されたので言葉を続ける。
「さっき私が言った、何でも言う事聞くってやつ…何をお願いするつもりなんですか?」
先程から気になっていた事を聞かせてもらう。だってこの人常識から外れた事お願いしそうじゃん。俺の仕事手伝ってとか言われたらどうしよう。齢12にして人を殺めたくはないです。いやいくつになっても人殺しはしたくないけど。
私の言葉を聞いたイルミさんはぴたりと歩みを止めた。
「ぅべし」
唐突過ぎて反応できずイルミさんの背中にぶつかってしまった。くそぅ地味に痛い。乙女にあるまじき声を出しちゃったよ、止まるなら止まるって言って。もし私が車だったら甚大な玉突き事故起きてるからね?分かってる?
なんて思いながら痛い痛いと鼻をさする私にイルミさんは少し考え込んだ後、右手の人差し指を自身の唇の前に持ってきて、
「内緒。」
とだけ言い放った。いつも通りの無表情だったけど、それはどこか楽しげな雰囲気を纏っていた。
*探求
『えー、そんな事言わずに教えてくださいよー』
『まぁ…楽しみにしてなよ。』
『なんだか怖く感じるのは私だけかな』
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まる坊(☆^〇^☆)(プロフ) - 告白の次、常識の前にある公平というページの名前変換に()がついていないので反応していません。()を忘れないようにして頂けると嬉しいです。この小説大好きなので、感情輸入してて( ̄▽ ̄;)お願いします。 (2017年1月11日 12時) (レス) id: 12c71fa02a (このIDを非表示/違反報告)
ぴくるす。(プロフ) - みずあいすさん» 報告ありがとうございます!常時その様に書いているのですが…変換機能が反応していませんか? (2016年9月12日 18時) (レス) id: d8cdc5c150 (このIDを非表示/違反報告)
みずあいす - 名前が変換されてません!普通に(名前)と書き換えてほしいです。 (2016年8月22日 12時) (レス) id: 94c5760bdb (このIDを非表示/違反報告)
ぴくるす。(プロフ) - あむみあむさん» 大体無気力系女子から一気読みとは…結構話数多いですよね、目は疲れていませんか?笑 お褒めの言葉ありがたく頂戴致します!文才はないので特訓中です笑 ありがとうございます、頑張りますね! (2016年8月13日 0時) (レス) id: d8cdc5c150 (このIDを非表示/違反報告)
ぴくるす。(プロフ) - Teke Raさん» Teke Raさんもイルミ好きですか!同志ですね!!私の拙い文章ではイルミのかっこよさが表現出来ているか不安でしたが…伝わってくれて良かったです!ありがとうございます、頑張りますね! (2016年8月13日 0時) (レス) id: d8cdc5c150 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴくるす | 作成日時:2015年8月18日 18時