独白 １ ページ39
私の両親は、成り上がりの貴族だった。
少しでも箔をつけたかったのか、私を名門の学園へ転校させた。幸い私は特待生としての条件を満たしていたので、懐はあまり軽くならなかった。
当てられたクラスで、私は一目惚れをした。この国の第二皇子のアレン・エルク・ドゥルーズ様。整った顔立ちにクールな性格。奇跡か偶然か、私は彼と隣の席、隣の部屋となった。
浮かれていたのも束の間、彼にはやはり婚約者が存在していた。A・セレシィ・ガルワ様。第一印象は冷たい人で、なんとなく悪役のような顔つきだった。
恋は盲目とはよく言ったもので、私は彼女がいるとアレン様と結ばれないからと、彼女を悪者に仕立て上げることを思いついた。
転校してきて暫くの間は、アレン様と沢山接した。どうやら彼も私に惚れてくれたみたいで、A様と話しているときよりも表情を柔らかくしてくれた。
そしてある日。私は自分への悪口が書かれた手紙を、自分の机の中に入れた。翌朝、泣く演技ができなくてただショックを受けているような感じになったが、皆は騙されてくれたみたいだった。
予想外だったのは、A様だった。私のことを心配するかのように、たまに声をかけてくれた。私がこれをやる前も、一度助けてもらったこともあった。
なんで、と私は不思議だった。普通なら、ざまあみろとか、そう思うんじゃないかって思った。
ただ、彼女は優しい人だった。そんな人を陥れようとしている自分が嫌だと思ったことも何度もあった。でも、止められなかった。私はアレン様と結ばれたくて、そのためには優しい彼女を裏切らないといけなかった。たまに部屋でそれを悔やんで泣いた。
悪役でも愛してほしいと嘆く私の本心が、気持ち悪くて仕方なかった。
ある日、親友と言えるぐらいには仲良くなったアピア様が、私に衝撃の事実を伝えてきた。
「私、ガルワ様の使用人なんです」
目の前が真っ暗になった。と同時に、嬉しくなった。彼女も私と同類の人間で、自分の主人を裏切ったのだと。
私は、たまに彼女と一緒に偽装工作をした。それが後々仇となるのだが、この時の私は自分のことで手一杯で、ほかのことなんか気にかけていられなかった。
あともう少しで、私が学園の頂点に立つ。シンデレラストーリーを実際に行った少女になれる。
でも、その手は王冠を取れなかった。
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ふう(プロフ) - 読ませて頂きました!!もうほんと途中胸痛かったけど、最後ハピエンで良かったです!!何か、自分をみてくれないって思ってたところがえりざ?ちゃんと夢主ちゃん似てるな、って思いました!!素晴らしかったです! (2019年9月13日 17時) (
レス) id: 98934c9ea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真冬 | 作成日時：2018年1月19日 23時
