第三十五話 ページ37
今日は手紙がなかった。靴は捨てられていなかったし、発表した時には小さくだが拍手が起こっていた。
アピア様……いや、アピアは何かを企んでいるようだった。多分私を思ってのことだと思うが、やはり一日休んだ間にこれだけ変わってしまうとある種の不安がある。一体彼女は何をしたんだろう。
それに、エリザの様子が変だ。ずっと怯えるような表情をしている。私が話しかけたら、ビクリと肩を震わせていた。大丈夫ですか、と声をかけると、ええ、と青ざめた笑顔が返ってきた。
「A。次の授業が始まる。エリザは僕に任せてくれ」
「アレン様……はい、宜しくお願いします」
ああ、というと、アレン様はエリザに話しかけ始めた。私はそれをみて少し安心して、自分の席に戻った。
授業は終わり、放課後になったのでエリザと共に生徒会室に行こうとしたのだが、体調が優れないようで今日は帰ってしまった。
仕方ないと思いつつ、一人で生徒会室に向かう。いつも通りノックをして、返事が来たら中に入った。
「失礼します」
「やぁ、ガルワくん。昨日は学園を休んだんだって？」
「……申し訳ありません。御迷惑を、おかけして」
「ああいや、違うんだ。
最近無理をしていたようだから、正直安心したんだよ。君もようやく、休むことを覚えてくれたのかってね」
ふわりと微笑まれると、少し居心地が悪い。疲れたから休んだのでは、ないのだが……。そう言ってしまうのは憚られた。
そうですね、と曖昧な返事をして、自分の机へ歩くと、いつもはあるはずの書類が居ちまいもなかった。机の中にあるのかと探ってみるが、何も出てこない。
「あの、書類は？」
「君がいつも頑張ってくれてるから、僕達も怠けるわけにはいかないだろう？
ロゼッタが一番頑張っていたよ」
「クライシス様が……」
ロゼッタ・クライシス。私の先輩で、騎士爵家の令嬢である。ヴィシア家とクライシス家は騎士爵家の名門だ。ヴィシア様とクライシス様が同じ年に産まれたので、どちらが一番を取るか、と昔からずっと注目されている。
クライシス様はすごく優しい人だ。少々乱暴なところがあるものの、困っている人は助けるしよく相談に乗ってくれる。そんな先輩が、私は好きだった。
「今日は帰っていいよ。ロワくんも来てないみたいだし」
「……ありがとう、ございます」
いい慣れなくて俯いてしまう。
ヴィシア様が笑ったのが分かり、なんとなく居心地が悪くてそそくさとその場を去った。
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ふう(プロフ) - 読ませて頂きました!!もうほんと途中胸痛かったけど、最後ハピエンで良かったです!!何か、自分をみてくれないって思ってたところがえりざ?ちゃんと夢主ちゃん似てるな、って思いました!!素晴らしかったです! (2019年9月13日 17時) (
レス) id: 98934c9ea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真冬 | 作成日時：2018年1月19日 23時
