第二十四話 ページ26
「ははっ！ やはり卿はお強い。久しぶりに楽しめました、ありがとう」
「負かした相手にお礼を言われるのも変な気分ですね……。こちらこそありがとう」
ピアノの椅子から降りて、三人で横に並ぶ。
ヴィシア様とクライシス様は剣を鞘に納め、胸に手を当てる。私はドレスの裾を掴む。
「皆様、ここまで見て頂きありがとうございました。まだパーティは始まったばかりですので、どうぞ存分にお楽しみください」
では、という声と同時に、三人で礼をする。一拍遅れて、そこかしこから拍手が聞こえてきた。どうやらちゃんと楽しませることができたようで、小さく安堵の息を漏らす。
ヴィシア様たちは着替えの為控室へ、私は楽譜めくりをしてくれた人に挨拶をすると、そのままあの黒髪の彼女と話した場所へ足を運んだ。彼女はあの剣舞を見てくれただろうか、そもそもまだあそこにいるのだろうか。
歩く度に募っていく不安は、かなり嫌なことでなくなった。
黒髪のあの子はエリザと話していた。私といたときは緊張していてしどろもどろになっていたのに、今はエリザと笑顔で談笑している。
新しい友達が、せめて話し相手ができたと思ったのに。
パーティで一人ぼっちになるのを、回避できると思ったのに。
エリザは、無自覚に私の希望を踏みにじってくる。
話している彼女らを見れなくて、気づけば私はパーティ会場とは別の中庭へ歩いていた。
テーブルもアーチも設置されていない中庭には、当然ながら私以外誰もいない。
きっと私を迎えに来る人なんていない。アレン様はエリザに夢中だし、ヴィシア様達は今回のパーティが、学園生活の中で最後になるから楽しんでいるはずだ。
寧ろ誰も来ないでほしい。今はただ一人になりたい。そう思って笑ってしまった。
孤独だったのに一人になりたい、なんて。矛盾しているわ。私はなんで弱くなってしまったのでしょう。
中庭に降りる階段に座った。ドレスが汚れるとか、令嬢として恥ずかしいとか、そんなのはどうでもよくなってしまった。
小さく聞こえるアナウンスが、ダンスの時間を知らせるまで私は一人、そこにいた。
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ふう(プロフ) - 読ませて頂きました!!もうほんと途中胸痛かったけど、最後ハピエンで良かったです!!何か、自分をみてくれないって思ってたところがえりざ?ちゃんと夢主ちゃん似てるな、って思いました!!素晴らしかったです! (2019年9月13日 17時) (
レス) id: 98934c9ea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真冬 | 作成日時：2018年1月19日 23時
