第十八話 ページ20
学園に行けば、嘘ばかり囁かれた。
エリザへの嫌がらせの主犯だとか、アレン様との婚約はお金目当てだとか。
そこでうるさいと、胸を張って言えるほど強ければよかったのだけれど、生憎私はすっかり臆病者に育ってしまっていた。孤独に慣れすぎて、他人とどう接していいかわからないから。
エリザはというと、嫌がらせの手紙は減ってきているらしかった。それにほっとする前に、私への手紙は増えていった。嬉しくないラブレターはロッカーにまで入るようになった。
エリザは優しい。私のことを心配して、毎日話しかけてくれる。
「御機嫌よう、ガルワ様。今日も変な手紙が届いたのですか?」
「御機嫌ようロワ様。貴女が気にするほどではないですよ。お優しいですね」
最後の一言はやけに皮肉めいたものになってしまったが、エリザはそれに気づかないようだった。
彼女はご友人に引っ張られてどこかへ行った。そのご友人が私のことをあまりよく思っていないことは知っている。
ご友人の名前は、アピア・ロッキード。ロッキード家は毎年王族に優秀な使用人を輩出している。指導は厳しいし、何人かついて行けなくなってどこかへ行ってしまったとの話を聞くが、しかし本当に使用人をはよく育成された者ばかりだ。移住食が約束されていることから、ロッキード家から出た使用人は数多くいる。私の家にも、確か3人ほどいたはずだ。
アピア様は、そのお家のご令嬢だ。
「必死ね。私がロワ様と一緒にいるのが気にくわないのかしら」
彼女はいつも、鋭い目つきで私を見ていた。あれで気づかれないと思ってるのでしょうね。残念な人。
このあとは委員会活動時間だ。学園パーティが近づいてきたおかげで、夜遅くまで明かりがついているところもある。生徒会はというと、当日の日程や、毎年恒例らしい出し物の練習をしている。
去年は劇。今年は生演奏に合わせて、ヴィシア様が剣舞をなさるらしい。
演奏役は、私だった。
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ふう(プロフ) - 読ませて頂きました!!もうほんと途中胸痛かったけど、最後ハピエンで良かったです!!何か、自分をみてくれないって思ってたところがえりざ?ちゃんと夢主ちゃん似てるな、って思いました!!素晴らしかったです! (2019年9月13日 17時) (レス) id: 98934c9ea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真冬 | 作成日時:2018年1月19日 23時