第九話 ページ11
無事お花摘みも終わり、アレン様がまだいるであろう生徒会室へ向かう。
無言で、靴の音しか響かないことに我慢ができなかったのか、エリザは私に話しかけてくる。
「あ、あのガルワ様。最近、アレン様とどうなっているのでしょうか……」
ピクリ、と肩が動いたことは彼女に知られなかったようだ。
私は平然を装って、彼女の問いに答える。
「どうと言われましても。特別変わった事などありませんわ」
だって元から一人でしたし、という言葉は飲み込んだ。まだ彼女には理解しきれないだろうから。
彼女は不満そうな顔をしていたが、やがて「そう、ですか」と大人しくなった。何か言ってはいけないことを言ってしまっただろうか。それとも彼女の心の中は、実は真っ黒なのか。それさえどうでもいい。私は事実を事実と認めることしかできなくなっているのだし。
生徒会室に行けば、やはりアレン様はそこにいらっしゃった。眉間に皺が寄っている。ヴィシア様は相変わらず微笑のまま。
「きちんと案内をしてくださいね、アレン様」
「言われんでもわかってる。いくぞ、エリザ」
……そういえば、もうお名前でお呼びになっているのね。私のことをお名前でお呼びになさったのは、婚約して数年後だったのに。それも、私がそういうよう我儘を言ったからなのに。
エリザは、やはりずるいと思う。意図せずして幸福を受け取り、そしてそれを倍増させる。なのに溺れることはない。厄介だともいえるだろう。
私にはそんなこと、なかった。
「ガルワくん、今日も仕事はないから、もう寮に戻りなさい」
「、あ……いえ、雑務でも構いませんので、仕事はやります」
今日こそは、と思っていた私の思いを見透かしたのか、「じゃあお茶のお代わりをくれるかな」と話した。
「ええ、勿論です」とティーポットを持ち、カップに紅茶を注いでいく。
揺れる水面に映る私の目は虚ろだった。
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ふう(プロフ) - 読ませて頂きました!!もうほんと途中胸痛かったけど、最後ハピエンで良かったです!!何か、自分をみてくれないって思ってたところがえりざ?ちゃんと夢主ちゃん似てるな、って思いました!!素晴らしかったです! (2019年9月13日 17時) (
レス) id: 98934c9ea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真冬 | 作成日時：2018年1月19日 23時
