第二十八話 〜？side〜 ページ30
職員室に向かう途中で、パンッと乾いた音が聞こえた。
何事だろうとその方向に向かうと、そこにはアレン様の婚約者であるガルワ様と……誰だっけ、あの令嬢。まぁとにかく、その二人がいた。
てっきりガルワ様が相手の令嬢を叩いたのかと思ったのだが、そうじゃない。ガルワ様の左頬は赤くなっていた。
ひえぇ、怖い。やっぱり女の人って怖いなぁ。
実際叩いた側の令嬢は眉を吊り上げて、悪魔みたいな顔をしている。人は表情だけで相手に与える印象を変える。私からしてみれば彼女の顔は、とても醜く見えた。
不思議なぐらい黙って居るガルワ様には、まだなっていないのに王族みたいな凛とした印象を受けた。彼女の素の顔も、言ってしまえば悪人みたいな顔なのに。でも、綺麗なんだ。
令嬢は訳の分からないことを喚き始めた。ガルワ様が、アレン様とエリザ様の恋路を邪魔しようとしている？ みたいな、良くわからない話をしていた。いやいや、普通婚約者なのに他の女性に目移りされたら嫌だろう。この令嬢は頭が足りないのか、そうなのか。
それに対して、ガルワ様は特に反論することもなく、スタスタと歩いていってしまった。令嬢の方は怒りが収まらないらしく、その醜い顔に合った罵詈雑言を彼女の背中に投げつけていた。
人というものは、やはりよくわからない。ガルワ様はこの学園の中で知らない者はいない、国公認のアレン様の婚約者だ。それに、貴族の中でも位は高い。それなのに、どうしてあんなことをしようなんていう気になるんだろう。
「馬鹿だなぁ、あの人」
きっと将来、自分の家に汚れを付けることになるだろう。そうなればいいんだ、あんな人は。
高貴で凛としていて、なのにどこまでも優しいガルワ様に無礼を働いた罰を受ければいいんだ。
「ガルワ様、貴方のことは私が守ります」
まずはあの令嬢の噂の真偽を確かめなくちゃ。あと、会話に出てきた……名前が思いだせないけど、アレン様を奪おうとしている令嬢のことも注意しなければいけない。
ガルワ様と、幼い頃に約束したのだ。
『ガルワさまのことは、私がまもります！』
『頼もしいわ、××。……私がどんなに悪いことをしても、そうしてくれるの？』
『あたりまえです！ アレンさまがあいてであっても、この思いはゆるぎません！』
そう言えば、心の底から嬉しそうに笑った彼女を、私が守ると。
昔助けられた私が、今彼女を助けるんだ。
待っててください、ガルワ様。
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ふう(プロフ) - 読ませて頂きました!!もうほんと途中胸痛かったけど、最後ハピエンで良かったです!!何か、自分をみてくれないって思ってたところがえりざ?ちゃんと夢主ちゃん似てるな、って思いました!!素晴らしかったです! (2019年9月13日 17時) (
レス) id: 98934c9ea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真冬 | 作成日時：2018年1月19日 23時
