事故トリ少女が紡ぎゆく糸【暗殺教室】 (ページ34)

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162　解き放て、呪縛からページ34

前方を指し黙らせる。

話を聞いてと目で伝えて。

｢おぅイトナ、俺も考えてたよ｣

…ひしひしと伝わってくる。

｢あんなタコ今日にでも殺してーってな｣

黒い触手に込められた、

｢でもな、テメーにゃすぐ奴を殺すなんて無理なんだよ｣

焦りや怒りや哀しみが。

｢無理のあるビジョンなんざ捨てちまいな。楽になるぜ｣
｢うるさい｣

でもその触手を、

ﾌﾞｧｯ＿＿＿＿

＿＿＿＿＿ｶﾞｼｨｯ

コイツは全力で受け止めた。

｢2回目だし弱ってるから捕まえやすいわ｣

…普通の人間は、

｢吐きそーなぐらいクソ痛てーけどな｣

絶対やらないこんな事。

｢吐きそーといや村松ん家のラーメン思い出した｣
｢あん!?｣

…けど、

｢あいつな、あのタコから経営の勉強奨められてんだ｣

絶対しない事をされたから、

｢今はマズいラーメンでいい｣

話を聞く事ができたんだ。

｢いつか店を継ぐ時があったら…新しい味と経営手腕で繁盛させてやれってよ｣

…このバカは、やっぱ天才。

｢吉田も同じ事言われてた。"いつか"役に立つかもしれないって｣

物事の、難易度を下げる。

｢なぁイトナ｣

"彼"から"彼"が抜けていく。

｢一度や二度負けた位でグレてんじゃねェ｣

ｺﾞｯ

｢"いつか"勝てりゃあいーじゃねーかよ｣

…あーあ。

｢タコ殺すにしたってな、今殺らなくていい｣

ｻﾞｯ

｢百回失敗したっていい｣

こんな堂々と活躍されちゃ…

｢3月までにたった1回殺せりゃ…｣

誰がこの漫画の主人公か…

｢そんだけで俺等の勝ちよ｣

全く解らなくなっちゃうじゃん。

｢親の工場なんざそん時賞金で買い戻しゃ済むだろーが｣

…大丈夫。帰ってくるから。

｢そしたら親も戻って来らァ｣

5ヶ月後に、ちゃんと。

…でも、

｢…耐えられない｣

…それまでは、

｢次の勝利のビジョンが出来るまで…俺は何をして過ごせばいい｣
｢はァ?｣

…ううん、

それからも。

｢今日みてーにバカやって過ごすんだよ。

そのためにE組(おれら)がいるんだろーが｣

…イトナが、

解放(かわ)った。

『…答えってさ、足元に転がってても』

そして＿＿＿＿

『難しく考えるせいで、気づけない事ってよくある』

やっと＿＿＿

『けどバカは…』

"彼"の瞳から＿＿＿

『拾えちゃうんだよ、

それを』

ｽｩｯ…

"彼"が、

消えた。

飛び込んだ意味が、

解った気がした。