153 "綿" ページ24
『…あ……ぇ……』
言葉がうまく出てこない。
糸がふっつり切れ、
体の力が抜けたようで。
「…Aさん、大丈夫?」
『あ…うん』
声を掛けてくれた"彼女"を見る。
…取り乱してない。
あの状況で、不思議。
不安定な手でレコーダーを取る。
聞くのは、明日以降。
聞かないかもしれないけど。
それからすぐ、私達は探した。
私もさがした。
ひたすらに捜した。
タッタッタッタッ
何かを忘れられる気がして、
[見つかった?]
『ううん…さっぱり』
何かを消し去れるような気がして。
『…いない…』
散々捜し回った後、気付いた。
『あ…』
そうだった。
見つかる訳、
ないんだ。
「もう時間も遅いです。…やむを得ません」
先生の指示で解散。
その前に私は言った。
『…皆に連絡しても、良い?』
_______
A下着ドロの犯人判明
L〇NEの文面を打ちながら、
A全部シロ(とイトナの仕業。私達の心理も利用しての作戦だった:#7fff00)
一人帰りの電車に揺られる。
A先生は辛勝したけど____
そこで続きを書く手が止まる。
変な感覚。
世界に自分だけいるような。
明日を知らない人みたいな。
どうしてそうなのか解らなかった。
自分で自分が掴めなかった。
息を吸い、一気に書いた。
Aイトナは触手の拒絶反応が出て行方をくらました。
詳しい事、質問は明日受け付けます A
夜道の中家路につく。
白という字を見たくない。
もうしばらくは見たくな_____
____〈綿原〉
______無理じゃん。
家の表札でようやく気付いた。
"綿"という字を分解すると、
"糸"、
"白"、
そして"巾"の三つになることに。
"巾"って確か…被るもの・覆うものって意味がある。
白い覆うもの。
完全に奴の事。
風呂場でシャワーをただ浴びながら、望まない意味を感じた。
糸と白が共存するここでの名字に。
明日の準備は明日しよう。
漫画を見るのも明日しよう。
気力の抜けきった体を、寝床に預ける。
…もし行動に制限が無かったとしても、結果は同じだっただろう。
多分、いや確実に。
グラついている。
コントロールできない。
目を閉じて、呟いた。
『明日は良い日に……
……なりますように』
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ソウルビート(プロフ) - 麻希リョウさん» 有難う有難う!!Aに一票、っと…。メモしときます(*’▽’) (2016年3月2日 21時) (レス) id: 8df022a000 (このIDを非表示/違反報告)
麻希リョウ(プロフ) - 大丈夫だよ、ちゃんと祝うから。血液はAがいいな (2016年3月2日 21時) (レス) id: cdf4b9cfe9 (このIDを非表示/違反報告)
ソウルビート(プロフ) - 麻希リョウさん» ありがとー! リョウちゃんの合格を心から願っております! (2016年2月29日 20時) (レス) id: 8df022a000 (このIDを非表示/違反報告)
麻希リョウ(プロフ) - ソウルちゃん、おめでとう!オレも後もう少し… (2016年2月29日 20時) (レス) id: cdf4b9cfe9 (このIDを非表示/違反報告)
ソウルビート(プロフ) - 鈴音さん» どーもー! (2016年2月29日 19時) (レス) id: 8df022a000 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソウルビート | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/beat4101
作成日時:2015年10月11日 18時