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それから人間じゃなくなって親もいなくなった僕の生活を、あの青年＿＿白銀さんというらしい＿＿が支援してくれるようになった。
金銭面だけだが。
それでもまあ助かる事だ。
感謝しないと。
「私は別に誰に対してでもこうする訳では無いんですよ」
と、白銀さんは言っていた。
「かと言って、貴方を気に入った訳でも無い。ただ貴方を知る人が貴方を助けてやれと、私に言うたから、貴方を助けるだけです。不本意ですよ」
とも。
兎も角僕はそこから、何とか生きる事が出来た。
_
中学生になった。
環境は変わった。
しかしきっと人間を辞めている奴など、僕以外にいないだろう。
これでは誰かと友達になる事なんて出来やしない。
何故なら。
この力は＿＿。
一年目は、誰とも接する事無く過ぎ去った。
適当な返事で適当にあしらっていたら、誰も寄り付かなくなった。
それで良い。
二年目もきっと、同じように過ぎていくんだろう＿＿
「ねえ」
ふと本から目を離して顔を上げると、白いイヤホンを着けた緑髪緑目の少年が僕の前に立っていた。
「……何ですか」
不満なのを装って返答する。
「いや、あの……」
彼は一瞬戸惑ったように目を泳がせると、
「ちょっと良い？」
と僕の手を引き、走り出した。
クラスメート達が驚いたようにこちらを見ていた。
そう言えば彼も、あまり進んで人と話すようなタイプではなさげだな。
彼が足を止めたのは、体育館裏。
しんと静まり返っていて、小さめに発された筈の彼の声も十分に聞こえた。
「名前、何て言うの」
「え？」
名前。
そう言えばそうだ。確か始業式の日に自己紹介タイムが無かったから、彼の名も解らない。
「氷岡日向……です」
「そう。俺は津和野蓮(ﾂﾜﾉ ﾚﾝ)」
「……」
「……」
……話が続かない。
暫くすると津和野君？ は少し俯いて思考するような素振りを見せた後、目から何か＿＿多分コンタクトレンズを外して、僕に目を向けた。
目を見せた、と言うのが正しいか。
「解る？ これ」
彼の翡翠色の奇麗な瞳は。
「……！」
所々から、電子的な光を放っていた。
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作者名：ローレン | 作成日時：2016年3月4日 22時
