#恋心こそ異 ページ13
気づくとカッターナイフの刃は赤黒く変色していて。
塩水を口に含む際に水面に映った俺の顔は、返り血を浴びていた。
この血はきっと、既に死んだのに二度も殺されたAちゃんのもの。
「どうして」
自分に問う＿＿何故こんな事をしたのか。
何故こんな事になったのか。
解らない。解らない、けど。
ﾍﾟﾀﾍﾟﾀ……ﾍﾟﾀ
「っ」
息を呑んだ。
何で、足音？
Aは俺が殺したのに？
この家には、俺以外誰もいないのに？
口元で汗と涙と塩水が混じり合って、何とも言えない味になっていた。
怖くて怖くて、それを俺は呑み込む。
来るな、来るな。
来るな！
死にたくない。
誰も助けてくれない。
死にたく、ない……よぉ……。
「ぁ」
そこまで考えて、思う。
Aだって、死にたくなかっただろうな。
助けてくれる人、欲しかっただろうな。
俺は。
「は、はは……」
俺は、俺を助けてくれた人を＿＿助けてくれる人を、殺したんだね。
クローゼットの戸が開き、彼は冷たい声音で言った。
「ああ、犯人はお前だったんだね。FB君」
そうだよ。
俺だよ。
「死にたくない、なぁ」
静かに呟いて涙を流す俺を、彼は見下ろした。
「『死にたくない』？ ……殺してやる」
瞬間。
彼は俺の腹にハサミを突き立てた。
じわりと血が溢れ出る。
彼は「じゃあね」とだけ言い、くるりと踵を返した。
「……あーあ」
彼と入れ替わるようにして現れたのは、××××だった。
「もうお終いだ＿＿吹雪真」
そうかよ、『ゲームマスター』。
さぞ愉しかったろうね。
思い通りに俺が動いた事＿＿「Aはお前の事なんて嫌いだよ」って言っただけで、俺が彼女を殺した事。
「独りじゃない」事に気づけなかった事。
愉しかったろうね……バイバイ、××××。
出来れば最期に、Aの歌を聴きたかったなあ。
_
『本日○○市の民家で、男子高校生の遺体が発見されました』
報道された名前を聞き、独りになった彼は嗤い。
化け物はほくそ笑んだ。
これが、「愛したぬいぐるみを使って『ひとりかくれんぼ』をした少年」のお話。
ラッキーアイテム？
黒猫
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ローレン - はすにゃんさん» レス遅れて申し訳ありません！ありがとうございます！何度でも見てくださると本当に嬉しいです( 〃▽〃) (2016年11月23日 15時) (
レス) id: b6c39a0d0f (このIDを非表示/違反報告)
はすにゃん - なにこれ完成度高すぎ！？涙出るほどのお話でした！ときどき見に来ます！ (2016年9月28日 21時) (レス) id: a55a46661a (このIDを非表示/違反報告)
紫水(プロフ) - ローレンさん» え、読んで頂けてるのですか!?こちらこそびっくりです！嬉しすぎます！レスすみません、本当にありがとうございました！ (2016年7月21日 19時) (レス) id: 0c5ab9ccf7 (このIDを非表示/違反報告)
ローレン - 紫水さん» ありがとうございます！ 紫水さんの作品いつも読ませて頂いているので、紫水さんが読んで下さってると解ってびっくりしました笑 感動して頂けて幸いです！ (2016年7月21日 18時) (レス) id: 6cdcb3d4e1 (このIDを非表示/違反報告)
紫水(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初は怖いのかなと思っていたのですが、最終章ですごく感動しました。きっくんの気持ちを考えて何度涙が出そうになったことか…。とても面白い作品でした。次回作、期待させていただきます。長々と失礼しました。 (2016年7月21日 18時) (レス) id: 0c5ab9ccf7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ローレン | 作成日時：2016年5月19日 18時
