【オリジナル】another world

もう一つの世界　１ ページ3

〈犬千代SIDE〉


「お前が晴だな？」

「……はい」

俺に、この世界の説明をしてくれた少女もといメアリーに言われ、猫又さんという人に会いに来た。

どうやら猫又さんは、この世界の創造主らしく、俺も緊張していた。

そう、緊張『していた』……。

というのも、さっきからこいつ、喋ってる時に扇子で仰ぐわ尻尾は振るわで迷惑だ。

「我は猫又。この世界の主だ」

おまけに上から目線。

……とりあえず、俺の猫又さんに対する第一印象は『なんかうざい』。これに限った。

「さっそくだが――お前には『バケモノ』になってもらう」

「……はい？」

バケモノ？ ってなんだろう。

まさか、グロテスクな見た目のやつだったりするアレか……！？

「この中から選べ」

そういわれて差し出されたのは一枚の紙。名前がびっしりと書かれている。

名前が、びっしり……

名前だけ！！！！！！？？？ 容姿とかは！！！！？？

……ああ、あるわけないか。

「じゃあこの……犬千代、で……」

も、もうどうにでもなれ……。

「……よいのだな？ では……」

猫又さんは、右手で人を指さすみたいに人差し指を立て、こう言った。

――少々、目を閉じておれ。

反射的に目をつむった。

その瞬間だった――

バチッ……。

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