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俺たちみたいな人生を送っている人は大抵、
普通の生活に憧れるものだ。
20代前半、芸能人じゃなかったら何をしてただろうって思いを馳せるのはなかなか楽しい。
ごく普通のサラリーマンとか専門職とか大学生とか
…もしかしたらニート?
昔は憧れだったこの世界だけど、その中の人間になってみればむしろ普通になりたいと思ってしまう。
JK「ヒョン、ファンレター置きっぱなしはやめてください」
「あれ?マネヒョンに任せたのに」
宿舎のテーブルの上にメンバーごとに分けられた箱があって、そこにはいつもファンからの贈り物がたくさん来る。
そういうものはちゃんと目を通すけど、さすがに全部見るのは時間がかかるんだ。
ー 「防弾少年団の新曲が音楽チャートを総ナメしています!今月末にワールドツアーを予定して…」
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テレビをつければそんなニュースが飛び交う。
街を歩けば店で俺たちの曲が流れる。
ふと横を見ればグッズを身につけた女子高生がいる。
そんな生活が当たり前になりつつあることが
未だに俺は信じられないんだ。
成功してよかったって気持ち半分、
プレッシャー半分、ってとこかな。
ここまでファンが増えたことを鼻にかけるつもりは無いけど、もう普通とは程遠い場所まで来てしまったのかもしれない。
いつも誰かから期待されて、黄色い声を受けて…
そんな生活に疲れを感じる時、いつも思うんだ。
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「一般人に戻ってみたくない?」
JM「なんだよ急に笑笑」
「うーん、なんとなく?」
ジミナは笑って衣装直しに行った。
ヒョン達もいつもと変わらぬ様子でメイクしてもらったり楽屋の隅でセルカを撮ったりしている。
準備が終わった俺はスマホ片手にソファーに座って、今話題だというアプリを開く。
通知の欄に赤いマークが浮き出てきて、
何も考えずにそれをタップした。
…
それが俺の人生を変えるきっかけだなんて
そんなこと微塵も思わずに。
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作者名:芙 | 作成日時:2019年2月18日 16時