. ページ36
.
支度を終えてまたリビングへ戻ると、ジョンハニヒョンが携帯を見ながら僕たちが来るのを待っていた。
JN「ヒョン…」
「お待たせ」
僕なんか誘わずに二人で行ってきていいんだよ、そうヒョンに言おうと思ったところでAがやってきたので、言いかけた言葉を飲み込んだ。
ヒョンは僕がなにか言いかけたのに気付いたけれど、触れずに携帯をポケットに仕舞う。
JH「じゃあ行こう」
僕の顔をチラッと見てから、すぐにAに笑顔を向けて、何事もなかったかのようにそう言い放った。
宿舎から出て僕たちはタクシーに乗った。
基本僕らの移動はタクシーだ。
免許を持っているメンバーもいるし、自分の車もあるけれど、疲れているから自分で運転をしようという気にはならない。
それにAに至っては、もう見た目から運転が下手そうだし。
.
少し車を走らせて、ショッピング街に着いた。
ジョンハニヒョンが服を買いたいとAに言っていたらしいけど、結局はAの服選びになりそう。
Aはヒョンが服を買いたいって言われたって僕に話したけど、ヒョンも元々Aの服を買うつもりなんだと思う。
JH「A、そこのお店、好きそうな服多そうだけど?」
「本当だ、さすがオッパ。行こう行こう」
嬉しそうに笑いながら、ジョンハニヒョンの腕と僕の腕を引っ張り店の中に入る。
僕らが入ったのはレディース服が置いてあるセレクトショップ。
居心地の悪さと、どうやってそこにいればいいのかわからない気まずさもあって戸惑う。そんな僕をよそに、ジョンハニヒョンはAに連れられて、あれこれ服を見ている。
Aはこれどう?これは?と気に入った服があったら見せる。それを面倒くさそうにするわけでもなく、ヒョンは「いいんじゃない」「こっちは?」と言いながらちゃんとAに付き合ってあげていた。
JN「ヒョン、すごいね…」
JH「だろ、ヒョンは優しいから」
JN「僕には全部同じに見えるんだけど」
ヒョンは苦笑いして、試着室に入っていったAを目で確認する。
僕ら男性メンバーには適当にあしらうこともあるのに、Aだけは特別。大抵のことは許してあげるし、優しさと愛おしさで存分にAを甘やかす。
Aはこのグループで唯一の女の子だから、なにかと傷つくような場面に遭遇する。
だから、優しいジョンハニヒョンは、そんなAをずっと昔から守ってあげているんだ。
.
674人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ジェンガ x他1人 | 作成日時:2020年7月18日 12時