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「マネージャーさんが呼んでる。行くよ」
「ちょっと…」
そのまま、先輩が呆然としているのを無視して、ヌナの手を掴み、廊下を歩き始める。オレも隣にいたのに、ジョンハニヒョンはオレのことを全く見もしなかった。
MG「すみません…」
オレも慌てて、その先輩に謝ってから二人を追いかける。ジョンハニヒョンはそのままオレたちの楽屋へと向かった。ヌナの右手をつかんで進むヒョンの背中を見つめるしかできなかった。
オレが掴んだ、ヌナの左手に赤く残った痕。
なにやったんだろう、オレ。
その痕を見るたびに、胸が苦しくなった。
JH「なんで連絡先聞かれてんの？」
楽屋の近くまで来て、部屋に入る前にジョンハニヒョンは掴んでいた手を離し、ヌナに向き合う。Aヌナは、ジョンハニヒョンの怒りと動揺した視線から目を逸らして、床を見つめ続ける。
「いきなり言われて…みんなも交換してるよって言われたの」
JH「じゃあそれでホイホイ渡すわけ？」
「渡してないよ。オッパが来て…」
JH「オレが来なかったら渡してたの？」
「…そうなってたかも…」
はあと深くため息をついて、髪をかきあげる。
本番が終わり、髪型が崩れても誰も文句言わない。
苛立ったときに、髪の毛をかき上げるジョンハニヒョン。それをヌナもわかっているから、ぎゅっと手を握って、その怒りに緊張している。
すぐにそれに気づいたヒョンは、優しい口調に戻った。
JH「Aはこういうことよくあるんだから気をつけてよ。そういうときはどうやって言えばいいのか知ってるでしょ」
「『携帯持ってません』」
JH「そう、それ」
そう言うと、ジョンハニヒョンは優しく微笑む。それに安心したヌナは、ほっとした笑顔を見せる。
JH「連絡先交換して、あとあと面倒になってることわかってるでしょ」
「そうだよね。ちょっと相手の威圧に負けそうになっちゃって…」
JH「Aは優しいから。でもちゃんと断らないと、相手にも迷惑かけるかもしれないんだから」
お互いを守るためなんだよとヒョンはもう一度諭す。ヌナも素直に頷いた。
JH「オッパ、ミンギュとちょっと話すから、先に入っててくれる？」
わかったとまた頷いて、オレの方を振り替えもせずに、楽屋へと入って行った。
ヒョンはオレの存在を無視してると思ったけど、ちゃんとこちらにも意識を向けていた。目が合うと、ふうとため息をつかれた。
次の言葉を聞きたくなかった。
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作者名：ジェンガ x他1人 | 作成日時：2020年7月18日 12時
