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「そこをなんとか。なあ…たの…」
MG「無理だって。ヌナよりもオレと仲良くしてよ。また連絡するよ」
彼が言い終わらないうちに、すぐに断る。ぽんっと肩に手を乗せてそのまますれ違って、それとなく交わして彼とはそれで別れた。
あんなやつだったっけ。練習生時代はもっと謙虚で、夢のために一生懸命頑張るやつだと思ってたけど、環境が変わって慣れが出てくると、いろいろ自分自身も変わってしまうんだろうか。
でもあいつがAヌナに興味を持つのもよくわかる。
ヌナは優しい。メンバーのオレが言うのもなんだけど、優しいだけじゃなくて可愛いし心が綺麗だし、何よりその可愛さに嫌味がない。
だからセブンティーンではない別のアイドルグループだったら、もっとモテていたんだろうなと思う時もある。実際、ジョンハニヒョンが番犬のようにヌナに近づこうとする男は排除していたのもあるけど、自然と他のメンバーもヌナのことを守っていた。
オレもそうだ。同じようにヌナを守っているつもりだ。だからこそヌナはオレに対して距離を置こうとしているのもわかっていた。
オレがヌナを守ろうとするたびに、するりと腕が抜き出してしまう。その感覚に気が付かないふりをすることもできるけど、ずっと一緒にいれば嫌でも感じるものだ。
ヌナと揉めたことがないのもそのせいだ。
距離を置かれているから、オレもヌナに苛立つことがない。普段から温厚でわがままを言う性格じゃないし、自分の主張も強くない人だから余計ヌナとは揉めるはずがなかった。
楽屋に戻り、扉を開けるとメンバーたちはそれぞれ定位置で寝たり、携帯をいじったりしていた。
「おかえり」
MG「ただいま」
「マネージャーさんがお昼ご飯買ってきてくれたよ」
オレが帰ってきたことに、真っ先に気づいて優しく微笑んでくれるヌナ。
こうやって優しい笑顔を見せて、オレを気遣ってくれる。だから時々、自分の考えすぎなんじゃないかって思うときもある。
オレだって正直のところよくわからない。でもやっぱり、ふとした瞬間にまた、微かに感じるヌナが他人に設定する境界線を、メンバーのオレにも引かれているような、そんな気がしてしまう。
「ほらこれミンギュの分。まだ食べたくない?」
MG「あー…、いや食べる。ありがとう、ヌナ」
ヌナからお弁当を受け取った。
オレに対してはお姉さんっぽい。
その明るさと頼りなさを隠す。
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作者名:ジェンガ x他1人 | 作成日時:2020年7月18日 12時