4.嫉妬心 WZ ページ14
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「ジフニ、一緒にご飯食べに行こう」
Aにご飯を誘われるのは珍しくない。
この日、オレは事務所の作業室で曲作りをしていた。Aは別の仕事が終わり、ちょうど夕飯時になったところで、オレが作業をしていると聞きつけ、立ち寄ったようだった。
WZ「いいけど…ジョンハニヒョンと食べるんじゃないの?」
「ん?なんで?約束してないよ?」
WZ「…あとでいろいろ言われるの嫌だから、確認してきて」
「ええ、なんで…」
勘弁してくれ。ジョンハニヒョンにこれほど執着されてるのに、当の本人はあまり気にしていないし、むしろ気づいていない。
時々、その鈍感さに苛立ちながらも、なんとなく責められず、許してしまう自分もいる。
「ハニオッパ、たぶんソクミナと出かけちゃったよ」
WZ「そう…じゃあ行くか」
「やった!」
WZ「なに食べたい?」
「うーん…、ジフニは?」
Aは絶対に自分の食べたいものを先に言わない。
だから一応まず、要望を聞くんだけどそれも無駄だってことを思い知る。
WZ「ジャージャー麺は?」
「んー」
WZ「クッパ?」
「お肉系…?」
WZ「じゃあ焼肉な」
「はーい」
なんだかんだAの要望を引き出しているようなやり取りをする。それもちょっと面倒で、正直Aとはあんまりご飯の話をしたくない。
WZ「…なあ、A。聞いといて結局お前の要望にするんだったら先に言ってくれよ」
「でも、絶対ジフニは自分の食べたいものを強引に押し付けたりしないじゃん」
WZ「だから?」
「ジフニとご飯を決める時、中間点を見つけられてる気がするの」
ニッコリ笑ってジフニは優しいからとAは言う。
ずるいよなあ、それでこっちも気分が良くなって責めきれない。面倒だとか、苛立つとか、嫌だとか、そう思いながらAを拒めない。
でも、若干の煮え切らない感覚はちゃんと残していく。それが嫌なんだよなあ。だから、Aとは“なにかを決める”作業をしたくない。
WZ「…じゃあ行こう」
椅子から立ち上がり、Aと一緒に作業室を出て事務所近くの焼肉屋に向かうことにした。
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作者名:ジェンガ x他1人 | 作成日時:2020年7月18日 12時