Lupinus【呪術廻戦】

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「落ち着いてください。まずは状況の説明を…」

「そっちが怪我をさせたのは分かるでしょう！？早く謝りなさいよ！！」






机を叩き付け声を張り上げAを怒鳴りつける母親。

俺と血も繋がっていない、
親子でもないAが謝る筋合いなんてない。

そもそも何でこんなとこまで来たんだ。
もう何も知らない子どもじゃない。
Aの仕事がどういうもので、何をしているのかも知っている。
こんなことで時間を無駄にするなんてバカバカしいだろ。
なんで、俺なんかのために…







「関係ないだろ…」

『…恵、』




「こいつは関係ないだろ！あんたの息子を殴ったのは俺だ…―」





『座りなさい。恵。』

「っ…」







普段より冷たくて、張り詰めた声。
喉が絞まったように声が出ず、
ただ言われるがままに席に着く。

怒っている、
…わけではない気はするが、

ふり返らないAの表情が気になって仕方ない。









『仰る通りです。怪我をさせてしまい、申し訳ありませんでした。…あなたも。痛かったでしょう、ごめんなさい。』



「っ…」








目の前で頭を下げ、丁寧に謝るA。
満足そうに腕を組む先輩の母親。



なんでだよ。
悪いのは向こうだ。

自分を満たすために他人を傷付けて、
狭い世界で優位に立ったと思い込んで愉悦に浸る。
呪いなんか見えもしないただの人間。
命を削って戦うのはAのような呪術師で、
呑気に暮らして守られているだけのやつらだろ。









「…まあ、貴女のようなまだ若い女性では子どもを育てるのも酷でしょう。しかも他人の子どもを…」


『では、説明をお願いします。』







「え？」


『殴って怪我をさせているのは事実のようですから謝罪はしました。ですがどうして恵が殴ることになったのか。そちらの説明をしてください。』








「なぜって…、まさか、原因はうちの子だと言いたいんですか！？」


『確かに私は保護者として未熟ですが、恵は違います。訳もなく他人を傷付けるような男ではありません。お母様が把握してないのでしたら結構ですよ。その子から話を聞きますから。』









ソファに座り、俺が殴った先輩にニコリと綺麗に笑うA。

…。
やっぱり怒っている。
誰にも口を出させない無言の圧が職員室を静まり返らせる。







「…ッ、」


『さあ。なぜ殴らせたんです？…ああ。傷が痛みますか？時間はありますから、ゆっくりでいいですよ。』

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