Lupinus【呪術廻戦】

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『…この人達を殺したのは、君たちだね。』





一級相当の呪霊が三体。
攻撃の痕と先ほどの遺体の痕がちゃんと合っている。

報告された呪霊とは随分風貌が異なるため、少し混乱する。



群れることなどない呪霊が、
まるで狩りでもするように私を狙ってくる。

私の匂いに中(あ)てられて複数の呪霊がやって来た時、
大抵はまず呪霊同士で争い合う。

私が駆り立てるのは
私を貪り尽くしたいという
独占欲と支配欲。

この呪霊たちは統率が取れすぎている。









『…おかしいな、』








一度距離を取り、
術式を発動し地面を数mほど深く抉る。

そのまま周囲の木々ごと穴の中に呪霊を引き寄せ、
右手で掌印を構えた。

森の外で待機した術師たちに影響がなければいいのだが…








『…― 濁(じょく) ―』








一瞬だけ周囲が無重力の空間となり、
穴の中の呪霊が浮き上がる。

解除してしまえばもう暫くは起き上がれない。
呪霊にとっては飛び出すことなど容易なこの穴も、
今の彼らにとっては何よりの障害になっているはずだ。









『……。』





地面でカタカタと揺れている呪具を拾い、
先ほど一瞬だけ感じたもう一つの呪力を辿る。

近くに居たのは好都合だった。
さっきの術のせいで
本命だった呪霊も身動きが取れなくなっている。



大きな猿のような体と三本の尻尾。
両掌には大きな瞳が一つずつ付いている。




呪霊を操る呪霊。
見たことも、聞いたこともない。

禪院家が興味を持つわけだ。







呪具を呪霊の目の前に置くと、
中から出てきた闇が一瞬で大きな体を飲み込んでしまった。

ただの呪具の箱だけになった周囲を見渡すと、
さっきの三体の呪霊は穴の中で互いを食い合って暴れている。
早く回復しようと、必死に。

この猿のような呪霊の術式が解けたのだろう。



放って置いても、そのうち三体とも死ぬ。
それにこれを祓うべきなのは私ではない。





封印済みの呪霊を拾い上げ、
服に着いた土埃を掃いながら
術師たちが待つ森の外へと向かった。

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