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「貴女、高専所属の術師じゃないですよね。」
「わざわざこんな所に何の用です?」
車を降りた途端、
敵意がむき出しになった術師がこちらに歩み寄ってくる。
気持ちは分かるが
それにしても気が短すぎないか。
「お騒がせして申し訳ありません。が、ここからは禪院家が務めさせていただきます。皆様はどうか、呪霊及び香月様への手出しはご遠慮ください。」
「なんだと!?」
「そんな勝手が許されるわけないでしょう!」
「横暴ですよ!高専に報告させてもらいますから。」
「結構です。」
目の前の一触即発のやり取りを傍観していると
森の中からかなり大きな呪力の揺れが感じられる。
こんな所で集まって何をしているのかと考えていたが、
成程。
応援で派遣された術師では祓えなかったのか。
向こうには治療中の術師も何人かいる。
これは等級も見直さなくてはならないかもしれない。
それに封印して連れて帰るのは良いが、
これを扱える術師が禪院家に居るのだろうか。
『これ、どうやって使うの?』
「ある程度呪霊を消耗させれば呪具が勝手に発動します。」
『へえ。モ◯スターボールじゃん。』
「ふざけてる場合ですか。ほら、早く向かって!」
急かすように森の方を指差す
怖い顔に気圧されてしまった。
もうふざけて誤魔化すのも諦め、
先ほどの呪力の元へ向かう。
だんだんと足を進めると
木が折れていたり呪具や呪符の残骸が落ちており、
戦闘の痕が見られた。
死者は出ていないとの報告だったが、
実際に来てみると術師の死体や切断された一部も転がっている。
仲間を殺した呪霊を
部外者に横取りされるとなるとさぞ不愉快だろう。
さっきの怒りの様子も至極正当なものだ。
『……。』
遺体に手を合わせて
負傷した傷跡を観察していると、ふと違和感を感じる。
抉られたようなものから、
綺麗に切断されたもの、
酸で溶けたような跡もある。
本当に呪霊は一体だけなのだろうか…
………まあ、
これだけ此処に留まればそろそろ出てくる。
幸いにも夜はすっかり更けこみ、
綺麗な満月が森の中を照らしている。
自分でも自分の匂いに酔いそうだ。
『……。』
重い腰を上げ、渡された呪具を地面に落とす。
やはり一体ではない。
囲まれた気配は、それぞれがそれなりに高い呪力を帯びている。
どうやらまだ本命には届いていないようだ。
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sou(プロフ) - 縞さんの呪術の作品全て拝見しました!!チューベローズの作品とても好きだったのでこちらもにまにましながら読みました!完結お疲れ様です♡♡ (2022年2月16日 9時) (レス) @page27 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
もぐ - 主様の作品の大ファンです。原作に忠実な登場人物たちや丁寧で綺麗な文章が本当に大好きです。もう書くことを辞めてしまったと存じますが自己満足でコメントさせていただきました。これからもずっと大事に読ませていただきます。素敵な作品に出会わせてくれてありがとう (2022年2月3日 4時) (レス) id: 21668848fc (このIDを非表示/違反報告)
セキララ - 私も恵とパパ黒好きなんです!(強さに惹かれた。もちろん顔も)周りの子はほとんど狗巻派なので少し悲しい。やっぱり1番は五条悟ですねw (2020年12月14日 20時) (レス) id: b7451699de (このIDを非表示/違反報告)
縞(プロフ) - セキララさん» 最初に好きになったのは五条先生ですが今は夏油や伏黒パパも同じくらい好きです。 (2020年12月14日 15時) (レス) id: c197e34fed (このIDを非表示/違反報告)
セキララ - 最近読み始めて止まらなくなり、すぐ読んでしまいました…続きを楽しみにしています!五条悟好きですか? (2020年12月14日 6時) (レス) id: b7451699de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縞 | 作成日時:2020年10月19日 3時