握り返して ページ9
彼女の近くに座って、手を握って、今日あったことをゆっくり話す。
たまに彼女の髪を撫でてあげたり。
「今日も色々なことがあったよ。翔くんは漢字が読めなくて本を読むのにすごく苦労していたんだ……あ、もちろん読むの手伝ってあげたよ?」
手を握る力が次第に弱くなってしまう。
指先が震えて、喉も震えて、声が上手く声にならない。
「A前に言ってたよね?一日一善、困ってる人は必ず助けるって」
「だから私も一日一善を目標にして、毎日頑張ってるんだよ」
震える声で話していて、我ながら情けない。
いつもこうだ、途中まで話すと力が入らなくなって声が震えて、
涙が零れる。
「いつも、人に優しくしてる、翔くんの勉強を手伝ってあげてるし仕事だって、他の人に迷惑しないようにキチンと仕上げてる、なのに、なんで」
Aの手に私の涙がぽたりと落ちた。
また、ぽたり、ぽたりと落ちる。
「Aは起きてくれないんだ…………Aがいないと、どれだけ人に優しくしても仕事をしても褒めてくれる人がいないんだ、だから、早くッ、目を覚まして……ッ」
白い部屋の中で私は今日も泣く。
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カス鮫作戦たいちょー(プロフ) - メルハさん» ありがとうございます!頑張ります! (2016年6月16日 20時) (レス) id: 89fa406ed5 (このIDを非表示/違反報告)
メルハ - 頑張って(*^_^*)b (2016年6月15日 10時) (レス) id: ab18974d96 (このIDを非表示/違反報告)
カス鮫作戦たいちょー(プロフ) - 未来さん» ありがとうございます! (2016年2月24日 12時) (レス) id: 89fa406ed5 (このIDを非表示/違反報告)
未来 - 頑張ってください!面白いです! (2016年2月24日 7時) (レス) id: e056ecf42a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カス鮫作戦たいちょー | 作成日時:2016年2月20日 13時