貝原茂平と恋をしよう。 (ページ20)

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君のためなら飛んでいくページ20

「私、ハーバードに行く。アメリカでたくさん、学びたいことを学んで、やりたいことをやったら、また日本に戻ってくるよ」

大学進学時にそんなことを言って、本当にハーバード大学に入ってしまった人。

高校の卒アルを見て、久しぶりに会いたいな、と思う。

電話、出てくれるかな。

「…………あっ……も、もしもし？」

「もしもし……あの、貝原だよね？」

「そう、今大丈夫……？」

時差のことなんて何も考えずにかけてしまった電話に、少し弱気になる。

けれどそんな僕の気持ちは知らずに、彼女の昔と変わらない笑い声が響く。

「相変わらず心配性だね。大丈夫だよ。それに丁度暇だったから話せて嬉しいよ」

「そっか、それならよかった」

「うん…………で？何か私に言いたいことあるんじゃないの？」

彼女には全てがお見通しのようで、ニヤニヤと笑う様子が想像出来る。

恥ずかしさを押し込めて言う。

「会いたい、から……早く帰ってきてくれませんか」

何故か敬語になってしまった語尾にまた恥ずかしさが募る。

彼女は、はあとため息を漏らす。

やっぱり、こんなのワガママか。

「帰るよ。すぐ帰る。あー……貝原がかわいいから早く帰りたくなっちゃった。私も会いたいな」

私ね今照れてるよ、と言われて僕の顔も熱を帯びていく。

「すぐ行くから待っててよ？」