みんなお前が大好きだってこと！(仮)【鬼滅の刃】 (ページ17)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:17,666 hit

また一つ、あなたを好きになりました。②【現代】ページ17

その日は一日、杏寿郞の家で３人で過ごした。

千寿郎くんは杏寿郎に本当に良く似ていて、なんだか見ているだけで楽しかった。

私が作った夕飯も「おいしいです！」と、笑顔でたくさん食べてくれた。

うちの弟もこれぐらい可愛かったらな…

夕飯を食べ終えると、杏寿郎が私と千寿郎くんを車で送ってくれる事になった。

────────

帰りの車の中、千寿郎くんはすぐに寝息を立て始める。

「一人で俺の所へ来るのは始めてだったから、疲れたんだろう。」

そう言って杏寿郎は優しく微笑む。

私は助手席から後ろの席を覗き込み、可愛い寝顔を盗み見る。

『本当可愛い。こんな弟がいるなんて羨ましいよ…』

「うむ、自慢の弟だ！」

暫くして、赤信号で車を停めた杏寿郎は、私の方へ顔を真っ直ぐ向けて言った。

「千寿郎は、まだ物心がつく前に母親を亡くしてな。俺が独り暮らしを始めてからはいつも父と二人きりだ。仲良くしてやってくれると有り難い。

『もちろん！』

私がそう答えると杏寿郎は、弟を思う優しい兄の顔で笑った。

こんな顔…初めて見た。

『兄上…』

「むっ？」

また車を走らせ始めた杏寿郎が、不思議そうな視線をちらりと此方へ寄越す。

『…何でもない！』

そう言って私は俯き、にやける顔を隠した。

そして、こんなにも優しくて頼りがいのある人の傍に居られる幸せを、私は改めて噛み締めた。

end