夕影に燃ゆる・救済編【鬼滅の刃】【煉獄杏寿郞】 (ページ4)

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四【時透side】ページ4

【時透side】

目を覚ますと、目の前に知らない顔があった。

「あっ、おはようございます。」

そう言って目の前の女性隊員が微笑む。

誰だったっけ…

「覚えてませんか？時透さまは鬼を斬った後、そのまま倒れたんですよ。」

そういえば、さっきまで任務に出ていたような…

「特に外傷は見当たりませんし、きっと疲れが溜まってたんじゃないですか？」

そうか、僕は眠ってしまったんだ。

『それで、どうして僕は君の膝で寝てるの？』

「すっ、すみません！土の上では痛いかと思って…」

慌てる彼女の膝から起き上がると、身体を支えた右腕に痛みが走った。

『つっ！』

「痛むんですか？？」

『別に、大したことないから。』

そう言う僕の腕を、彼女がつかむ。

そこから、何だか温かいものが自分の中に入ってくるような感覚がしたかと思うと、急に腕の痛みが消えた。

そういえば…

呼吸で他人の治療をする者がいると、誰かに聞いたような気がする。

変なの。

「君、剣士だよね。こんな事に力を使う位なら、もっと鬼を殺す為に努力したほうが良いんじゃない？」

『もちろん！強くなる為の努力もしていますが…
こうやって皆さんの傷を癒すことで力になれれば、ひいては鬼殺隊全体の為、巡りめぐれば私自身の為になると思うんです。』

ズキンっ＿＿＿＿

彼女の言葉に、何故か胸が疼いた。

『変なの…』

そう言って僕が立ち上がると、

「まだ、何処か痛みますか？」

彼女がそう尋ねる。

『痛くないよ。』

「すみません、まだ何処か辛そうに見えたので。また、痛い所がある時は私に言って下さいね。それから、あんまり無理しないで下さい！」

そう言って笑う彼女を見ると、僕は妙な気持ちになった。

初めて感じる気持ちに戸惑うが、きっとこれもまた、すぐに忘れてしまうんだろう。

そう思っていたのに、
何故だか彼女の言葉も、彼女の笑顔も、僕の頭からずっと消えなかった。