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すぐに返事をしようと思ったのに言葉が出なくて、ドアが開いた音で意識を戻す。そのまま2人で顔を向ければ、ジェヒョンが目を丸くして僕たちを見ていた。ドヨンが背中から顔を覗かせて、やっぱりここにいたじゃんとジェヒョンの背中を押す。よろめきながらソファーに向かってくるとき、僕のことはもう見えていないんだろうな。
「たくさん切ったね」
「…びっくりしたでしょ」
「長いの綺麗だったけど、」
「…うん」
「今もすごく綺麗」
「……本当？」
「俺がAに言うことで、嘘ついたことある？」
下手なドラマより美しい、存在してはいけないロマンス。そのまま手を引いて練習室を出て行って、Aのところにドヨンが座る。ドアが閉まるタイミングで、2人同時に息を吐いた。考えてることは知らないけど。
「しばらく長くするのはダメなんだって」
『…そう』
「でも似合ってたね、新鮮で」
『当たり前じゃん、Aなんだから』
「ジェヒョニも同じこと言ってた」
『本当に？』
「似合うのは当たり前だけど、それでも1番に綺麗だって伝えたいらしいよ」
それから少し時間が経って、Aがデビューすることが発表された。髪を切って、ルキズの頃とはまるで違う顔をして、ふんわりと柔らかく笑うAはもういない。
ちょうど会社にいたAを連れてきて、練習室でパソコンを丸く囲む。隣を見れば瞬きをしていないくらいに画面をじっと見つめているジェヒョンがいて、映像が終わってやっとゆっくり瞼を閉じたから、顎の辺りを撫でてみる。
「なに？」
『似てるねその顔』
「誰に？」
『ぽけっとしてる顔がAとそっくり』
「…そう？」
「ジェヒョナ、わたしたち揶揄われてるんだよ」
「でもそっくりだって」
「そっくりが嬉しかったの？」
呆れたように笑って、携帯を向けたら、顔をくっつけるように2人で頬をへこませる。Aの頬に片方だけある靨が、髪を切ったおかげでよく見えるようになった。時間が経てば髪型にも見慣れるし、Aにもきっと、世の中は慣れていく。そう信じるしかないのだ。この2人が、ずっと笑っていられるように。
『ケーキ何が良い？』
「ケーキ？」
「あれが良い、いちごのやつ」
「この前食べたやつ？」
『もうパーティーしたの？』
「うん、でも今日もパーティーしよう」
柔らかな魔法が、僕たちを包んでいる。
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奈胡（元jen）(プロフ) - 品があって優しくて儚くて…何度もいろんなメンバーとのやり取りを読み返しています これからも楽しみにしています⭐︎ (4月30日 2時) (
レス) @page32 id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
yom(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» ありがとうございます🥹これからも頑張ります❕ (8月11日 21時) (レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 何ですかこの素晴らしい世界観は！！！！！主人公へ向ける感情などが伝わってきて最高です！！！続き待ってます！！！！ (8月11日 12時) (レス) @page10 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2023年6月28日 18時
