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「もしAのせいで売れないなんて言う人がいたら、俺がぶん殴ってあげる」
「物騒なこと言わないで」
「でもね、そんな言葉が届く前に、俺が全部跳ね除けてあげる」
『お、俺も』
「……そんなこと出来るの？」
「出来るよ、だから信じて」
Aの濡れた頬を指で拭う。瞬きをして、瞳の中に、自分がぼんやりと映っている。背もたれに3人で倒れ込んで、グレーの天井を見上げた。
「泣いたらお腹空いた？」
「…空いた」
「やっぱり」
『戻る？みんなのところ』
「わたし顔ぐちゃぐちゃだけど」
「大丈夫、可愛い」
「…スーチョンもそう思う？」
『う、うん』
「うん？」
さっきまで子供みたいに泣いてたのに、どうして今は、こんなに笑った顔が綺麗なんだろう。
この時の感情を、俺はきっと何年経っても覚えている。Aを辞めさせなかった大人たち、Aを泣かせた大人たち、Aの泣き顔なんて知らない大人たち。俺たちが、1番最初にAを守るんだから。俺たちに敵う人なんて、誰もいないんだから。
窓を開けたら、涼しい風が入ってくる。ジャンケンに負けて俺たちの部屋からアイスを取ってくるジェヒョンを待っていたら、ウィンウィンとはじめて呼ばれた。明日切ると言っていた髪が、Aが笑うと柔らかく揺れる。
「たくさん泣いてごめんね」
『良いよ、俺も勝手に連れ出したし』
「今日はよく眠れそう」
『そう？』
「うん、ふたりがいてくれて良かった」
お兄ちゃんにもう一回連絡してくると立ち上がって、同じタイミングでジェヒョンが帰ってきた。先に食べててと寝室のドアが閉まって、バニラアイスは冷たくて、喉を通っても冷たいままだ。
「A、今日は寝れると良いな」
『…寝てないって気付いてたの？』
「なんとなくだけど」
穏やかな声で、柔らかい顔をして、そんな顔をするのは、Aの話をしている時だけだと教えたら、どんな顔をするんだろう。真ん中にAが戻ってきて、アイスありがとうと笑えば、頬をへこませて口の端っこが少しだけ上がった。
『A、』
「うん？」
『まだ、よろしくしないでおくね』
少しだけ、すぐにバレてしまいそうだけど、ふたりだけの秘密があったって良いでしょ？
仕方ないから、ふたりの面倒をみてあげる。何の話？とこっちを見たジェヒョンに、Aの真似をしてにこりと笑った。
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奈胡（元jen）(プロフ) - 品があって優しくて儚くて…何度もいろんなメンバーとのやり取りを読み返しています これからも楽しみにしています⭐︎ (4月30日 2時) (
レス) @page32 id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
yom(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» ありがとうございます🥹これからも頑張ります❕ (8月11日 21時) (レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 何ですかこの素晴らしい世界観は！！！！！主人公へ向ける感情などが伝わってきて最高です！！！続き待ってます！！！！ (8月11日 12時) (レス) @page10 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2023年6月28日 18時
