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『…今、なんて？』
「明日からテヨンたちのところに合流しなさい」
『明日辞めるんですけど、ここを』
「練習生を辞めて、デビューするんだよ」
辞めると言ったとき、あまりにもあっさりと受け止められたから、心のどこかでおかしいって思ってた。小さい時からここにいて、ここから飛び出すことは不安だけど、寂しいけど、お互い頑張ろうねって約束した。それなのに。
『このこと、皆知ってるんですか』
「この後伝えに行くよ」
『その、わたしが断ったら』
「断るの？」
ああオンニ、どうしてオンニが泣きそうなの。先生の言葉に返事が出来なくて、首をどこにも振れなかった。外にはジェヒョンとドンヒョクがいて、後でお兄さんたちにも挨拶に行かないと。最後だからと書いた手紙はちゃんと鞄に入れたか、宿舎を出る前に3回も確認したのに。
『一生懸命、頑張ります』
デビューおめでとう。この会社に入ってから、いちばん待ち侘びていた言葉を、涙を堪えて受け止めた。
一睡もできないまま、呼ばれたほうに進む。赤い目は何とか誤魔化せているんだろうか。わたしはただ、アイドルになりたかった。ただ綺麗に笑いたかった、それだけだ。
下を向いたまま中に入ろうとして、それでもまた、涙が溢れてしまいそうで、前を向いた。誰と目が合ったか分からないけど、きっともう、全部知られているんだろうな。
「A、みんなと仲良くね」
『……はい』
「じゃあ、頑張って」
何を頑張ったら良いんだろう。お兄ちゃんに会うための飛行機には乗れなくて、宿舎は今日中に移らないといけなくて、それと、髪を、切らなきゃいけなくて。ジェヒョンが綺麗って褒めてくれた髪を、切らないと、いけなくて。
デビューするんだって聞いた時、すごく嬉しかった。悔しいとかじゃなくて、ただ嬉しくて、わたしはどこかの街でジェヒョンたちのポスターを見て、きっとまた、誇らしく思うんだ。わたしの大切な青春は取り戻せないけど、諦めただけの大切な、わたしたちだけの思い出がある。
なのにどうして、俯いたまま見える床が、どんどん滲んでいくんだろう。
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奈胡（元jen）(プロフ) - 品があって優しくて儚くて…何度もいろんなメンバーとのやり取りを読み返しています これからも楽しみにしています⭐︎ (4月30日 2時) (
レス) @page32 id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
yom(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» ありがとうございます🥹これからも頑張ります❕ (8月11日 21時) (レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 何ですかこの素晴らしい世界観は！！！！！主人公へ向ける感情などが伝わってきて最高です！！！続き待ってます！！！！ (8月11日 12時) (レス) @page10 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2023年6月28日 18時
