�� ページ18
○
「あ、良いところに」
「本当なの」
「うん？」
「マネヒョンが言ってたこと」
「…ああ、オッパが伝えに行ってくれてたの？」
「Aは知ってたの？」
「ううん、さっき初めて聞いた」
「見てるこっちがむず痒い」と、テンが言っていたふたり。Aがジェヒョンのところに行く前に、伸ばした手が包み込むように胸の中に閉じ込めた。髪がふわりと揺れて、ゆっくりと元に戻っていく。
「ジェヒョナ、苦しいかも」
「まだ無理」
「…嬉しい？」
「嬉しい、ずっと待ってた」
急に静かになったから、大丈夫と聞こうとしたら、鼻を啜る音が聞こえた。俺たちよりもジェヒョンの方がびっくりした顔をして、おろおろしながら俺たちの方を見る。どうしたのとジャニが駆け寄って、そのままAがしゃがみ込む。何とかジャニが支えたけど、ドヨンがびっくりして肩を揺らした。
『A？』
「……泣くつもりじゃなかったんだけど、本当に」
「俺が強く抱きしめ過ぎた？痛かった？」
「ちがう、ほんとに、」
「本当に？」
「本当に、嬉しい」
「メンバーのことを大切に思っているから、その中で歌えるのであればとても幸せだ」インタビューの中の言葉を思い出して、何故か自分まで涙が出そうになる。Aが憧れていた先輩たちとは違うかもしれないけれど、俺たちと共に輝けるだろうか。また星になれるだろうか。
『好きなもの食べよう、Aの好きなもの』
「皆呼んでパーティーしようか、ドヨンイ何食べる？」
『ジェヒョナ、Aと一緒に皆を呼んで来てくれる？』
「うん、A行こう」
「…泣いたから顔洗わなきゃ」
「そのままでも可愛いよ」
「ジェヒョニはそれしか言わないから、あんまり信じられないよ」
ドアが閉まれば静かになって、俺たちも行こうかと荷物をまとめる。明日からの練習は、もっと賑やかになりそうだ。
「Aさ、手紙渡したのかな」
『手紙？』
「ジェヒョンに書くんだ〜って、新しい便箋と封筒一緒に買いに行ったんだよ」
「辞める前の話？」
「やっと言いたかったことを伝えられるって」
空を見る。月が薄っすらと見えている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 734人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奈胡（元jen）(プロフ) - 品があって優しくて儚くて…何度もいろんなメンバーとのやり取りを読み返しています これからも楽しみにしています⭐︎ (4月30日 2時) (
レス) @page32 id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
yom(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» ありがとうございます🥹これからも頑張ります❕ (8月11日 21時) (レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 何ですかこの素晴らしい世界観は！！！！！主人公へ向ける感情などが伝わってきて最高です！！！続き待ってます！！！！ (8月11日 12時) (レス) @page10 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yom | 作成日時：2023年6月28日 18時
