ラブレターは丸めた ページ2
○JAEHYUN
『本当に辞めるの？』
「…びっくりした」
『本当に？俺とさよなら出来るの？』
「ジェヒョナ、一昨日のこと忘れた？」
『忘れてないよ、だからこうやって話に来てる』
同い年が、明日ここを辞めるらしい。初めて会った時から長くて綺麗な髪が揺れて、先月の月末評価の曲が流れ始めた。憧れの先輩の、Aがいちばん好きな曲。
最後にそれを選んだことに気付いたのは、辞めるのだと伝えられてからだけど。
「あ！ヌナだ〜」
「おはようドンヒョク、元気？」
「う〜ん、あんまり元気じゃないかも」
「本当？どこか具合悪い？」
「だってヌナに会えなくなるんでしょ？寂しくなるね」
頭を撫でていた手に擦り寄るように、顔を寄せた。寂しいって、本当は俺も思ってる。ドンヒョクをぎゅっと抱きしめたAが、背中を摩って、大丈夫と呟いた。
「デビューしたら、たくさん見に行くね」
「ほんとう？マクヒョンより先に見つけるね」
「うん、マークにもよろしく伝えてくれる？」
開いていたドアの先で、誰かがAを呼んだ。先生が呼んでると言って、顔を見せたトレーナーのヒョンが、俺たちを見て一瞬、どう言ったら良いのか分からない顔をする。Aも今ですか？と言って慌てて荷物をまとめるから、横にあった鞄を渡した。
「ありがとう、話すの後でも良い？」
『俺も行く』
「中には入れないと思うけど」
「僕も行く！終わったらご飯食べようよ」
エレベーターを降りた先、ドアの中に吸い込まれていくAを見送って、廊下のソファーに2人で座った。きっと最後の挨拶だよとAは笑っていたから、すぐに出てくるんだろうなって、この時は思ってた。
『A、引き留めないの？』
「ヒョンでも無理だったのに？」
『いちばん懐いてたじゃん、マークもだけど』
「マクヒョンも元気無いの、やっぱり寂しいのかな」
『じゃあ後で、マークも呼んで説得しよう』
時計の針はいつの間にか進んでいて、ドンヒョクが俺の肩で眠って、俺も目を閉じようとした頃、ガチャリと音がする。こんな時まで外に出る前に頭を下げて、静かにドアを閉めて、こっちを向いて、初めて気付く。ぎゅっと握りしめた手に。
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奈胡（元jen）(プロフ) - 品があって優しくて儚くて…何度もいろんなメンバーとのやり取りを読み返しています これからも楽しみにしています⭐︎ (4月30日 2時) (
レス) @page32 id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
yom(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» ありがとうございます🥹これからも頑張ります❕ (8月11日 21時) (レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 何ですかこの素晴らしい世界観は！！！！！主人公へ向ける感情などが伝わってきて最高です！！！続き待ってます！！！！ (8月11日 12時) (レス) @page10 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2023年6月28日 18時
