理想と現実３

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わたしは走り出していた



(アイツなら今入院しているよ)



運動なんか得意じゃない



むしろ大嫌いだ



だけど今まで１番はやく走れている気がする




「ちょっと待ってって



どこにいるかわかってんの」



なんてわたしの手首を掴んできた



「わかるわけないでしょ」



「じゃあなんで走り出したんだよ



しかももう面会時間終わるし」



なんて呆れられている



「なにそれ、また今日も会えないわけ」



「もしかして紫耀の彼女？」



「なんでわかったの...」



「まあ勘かな



紫耀に彼女ができたって聞いた時は



驚いたけどこれならまあ(笑)」



こっちは至って真剣なのに



笑うなんて最低だ。



「てか紫耀は大丈夫なの？」



「うん事故だよ、車に轢かれて」



「え、ほんとに大丈夫なの？」



「普通に意識はあるよ、



ただ怪我はしてるけど」



「ほんとに大丈夫なの？」



「大丈夫だよ」



きっとわたしがなにを聞いたって



彼は大丈夫としか言わないし



わたしだって紫耀を見ないと



大丈夫なんて信じられないし



このやり取りは無駄だと思った。



「そっか...」



「ごめんね、連絡しなくて」



「え？」



「電話いっぱいかけてきてたでしょ？



俺がかけようかって聞いたら



アイツが心配するからいいって



てか連絡とれなくても心配するから



意味ないよな、ほんと馬鹿」



紫耀から直接聞いた話じゃないのに涙が出てくる



自分がこんな状態になっても



わたしのこと考えてくれるなんて馬鹿かよ



「俺が電話しようか？



それならアイツ出るだろうし」



「いいの？」



「もちろん」



なんて彼はこっちの心の準備とかなしに



すぐ紫耀に電話をかけた







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