10:魔女の国の物語 ページ11
それはとても…年頃である十代の少女の言葉とは思えなかった。胸をつかみながら、一息いれて心を落ち着かせる。
それは彼女だけの言葉じゃなかった。
火神や日向…その部屋にいる全員、何処かで祈りを捧げている誰かの声でもある。黒子はそれを痛感した。
痛むほど…痛感した。
・
「……そうでしたか。僕の知らないところでそんなことがあったなんて…」
「え…?知らなかったのッ!?」
そっちの事実に驚きだった。無理もないだろう。
「はい。……実は僕、旅を始めたのがつい一月前ででして…それで…その…詳しくは言えないのですが、ここに来たのも偶然なんです」
「カントク、そいつは嘘をついてないぜ…です。知り合いを探しているらしいっすよ」
「そうだったの……って先に言いなさいよッ!」
火神の首を閉め上げていたリコは、誰も止めることができずにいた。日向はため息をつき状況を理解してない黒子に今の説明し始める。
「カントクはな、優しいんだよ。俺たちや火神に対してだけじゃない、この村のみんなにも優しいし、遠征にいくときも貧しい子供に飯をあげるんだよ…。そんななかでこの国の歪みがあるから許せないこともある」
「なるほど…なんかカントクさんの気持ちがわかります」
まだまだ首を閉めているリコの様子を見ていた黒子は、なにかを決意した顔をして前に顔を上げた。
火神を絞めていたリコの動きが止まる。
「黒子君?」
「皆さん…よかったら僕の話を聞いてくれませんか?なぜ僕が旅をしているのか…」
「…聞く」
即答したのは火神だが、彼でなくその場にいる全員が首を縦に振って合図をした。黒子は辺りを見渡すと、先程見ていた本を全員の前に出す。
皮貼りの厚い本。
"魔女の国の物語"と書かれていた絵本だった。
「皆さんも魔女の国の話はご存じだと思います」
「アレだろ…えーと…」
「昔ってことになってるけど…今から10年前に実際に起こった出来事だよな…たしか魔女の国が滅んで、キセキの獣が姿をくらましたって…だよな水戸部?」
「………」
火神より早くに答えたのは、小柄な青年で隣にいた無口な青年確認をしていると頷いたので正しいとわかった。
「流石ミスター器用貧乏の小金井君ね」
「ひでぇ…」
「…ご存じならいいんです。バカな火神君もわかってくれましたし…。続きを話しますね」
「おい…」
・
さりげにバカにすると、火神の言葉を無視した黒子は話を続けた。
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ラッキーアイテム
革ベルト
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ミコト宮地(プロフ) - あれ…この話前niconicoで見たことある…初めのプロローグ。 (2014年10月13日 21時) (レス) id: 310942e7e1 (このIDを非表示/違反報告)
ののん*(プロフ) - とてもおもしろいです!心読み少女の夏休みも、更新楽しみにしてますね! (2014年4月23日 16時) (レス) id: 671cb3fac6 (このIDを非表示/違反報告)
びんこ - このお話が好きです! 頑張ってください (2014年4月19日 21時) (レス) id: a7e9759f2a (このIDを非表示/違反報告)
闇竜(プロフ) - とても面白いです!更新頑張って下さい! (2014年1月30日 18時) (レス) id: dccfe97d53 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミ@まるてと。嫁(プロフ) - わぁ~新作ですね(*´∀`)!!!!楽しみにしてますヾ(〃'v'〃)ノ (2013年7月3日 21時) (レス) id: 1d5613e612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゲームを作りたい月影 | 作成日時:2013年7月3日 19時