二十九 ページ29
あの後授業は3分程しか受けられなくてすぐに中休みになってしまった。
普段なら理解出来ていないと思うけど、丁度予習していた所なので助かった。
「あっ、仙蔵くん！それと…郁月さん。」
そんなことを考えていると話しかけてきたのは水野 鈴里。仙蔵の事が…というか元六年の6人が好きでよく絡んでくるけど、みんな苦手に思っている。
しかも人の気持ちなど知らない、いわゆる『自己中』。
そして元六年と一緒にいる私のことが気に入らなくていじめて来るけれど…水をかけてきたり蹴られる程度なので無視している。
「ううん、'郁月さんには'なんでもないよ。それよりも仙蔵くん、この間美味しいクレープ屋さん見つけたの！今週の土曜日、一緒に行こ？」
そう言われると仙蔵は露骨に嫌な顔をする。
当たり前だ。水野は何十回も元六年にこうやって誘って来ている。勿論全て断ってるけどね。
ただ、今回は誘い方が違う。
いつもなら'二人で'行こ？と誘ってくるのに…
そうだ、良いこと思いついた。
「いや、えんり「いいじゃない、行ったら？別に一人で行くわけじゃないんだし。」お前な…」
いつもと違うことを言う私に混乱の表情を浮かべる仙蔵。
そんな仙蔵に矢羽根で"一緒に、と言ってるんだから皆を連れて行けばいいの。勿論私もね。"と伝えると"名案だ。"と矢羽根を送って来た。
「いいじゃない、ね？一人じゃないし」
私が意見を変えられるような発言をすると、仙蔵が口を開く。
「そうだな…そんなに言うなら行くか。」
「！ほ、本当に!?」
水野がそう言うと仙蔵は頷く。
「やったぁ！じゃあ土曜日、12時に学園の門の前に集合ね！」
バイバイっ！と言って水野は去っていった。
「しかし…いや、なんでもない。」
仙蔵は何かを言いかけたが、言わなかった。
NEXT，
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
