君と僕。【フェイ】

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「きなこ───?」


いつもの天真爛漫な態度とはうってかわって、まるで悲しむ母親のような、そんな顔をしていた。


「ちょっと、こっちにきてほしいやんね」


そういって手をひかれて、



連れてこられたのは人のいない、森のような場所。


話があると言われても、さっきAが言った言葉が気になって仕方がなかった。


「あのさ僕、」


「フェイが今何を考えているか分かる、
誰に愛されているのか、そのだれかが気になるんでしょう?」


「え──・・・」


なんで


なんで


なんでわかるの──?


「フェイの考えていることは、全部お見通しやんね」


切なそうな、いまにも涙が溢れてしまいそうなそんな笑顔を浮かべた。


その姿はとても綺麗で


どこか懐かしくて




「ふ、うぇ............ッ」



涙が溢れた。


「ウチは、ね



フェイの、



母親、やんね............」



「う.....うぇ、ふ............っ」



黄名子をすこし懐かしいと感じた理由も



あたたかさも



すべてこういうことだったんだ。


「ごめんね、ひとりにして。


さみしかった、よね............っ」



「おかあ、さ............」



今だけは、

我慢していた涙をこぼすこと、許してください───

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