闇に焦がれる。【ONEPIECE】 (ページ10)

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"異常"だと聞いて思い当たる節はある。今までにも思った事もある。Aは一般的な枠組みに収まる人間じゃない。それも悪い意味でだ。

｢お前こそAの事何も分かってねェな！｣

勝ち誇ったルフィの顔が柵から覗く。自信たっぷりな笑みがいつだかのユーリと重なって思わず顔を顰めた。目を背けたくなるくらいの光属性は厄介な事極まりない。

｢Aは記憶力悪ィし、顔も目も死んでるし、ひねくれた性格した奴だ！でもな、こいつはスッゲェ優しくて、こっちがドン引くくらい不器用なんだぞ！！｣

フンっ、と鼻息を荒くして言ってやったと言わんばかりの顔をドフラミンゴに向けた。口の端を上げるゾロの横でAは深い溜息をついた。

これだから光属性は嫌いなのだ。本人の前で恥ずかしげもなく言い放ってしまうのだから聞いてるこっちが恥ずかしくなる。こそばゆくて、呆れて、でも不快感はなくて、昔の記憶が蘇る。涙が出なかったのが不思議なくらいの記憶が蘇る。呆れを通り越して関心さえする。

ドフラミンゴの話を聞いても未だに疑いの色が微塵もない。そういう真っ直ぐな所が嫌いで惚れたのだ。ジト目で見ていればその視線に気付いたルフィが首を傾げる。

｢ほんっとに嫌い。｣
｢何だと！？｣

ふいっ、とそっぽを向いたAは確かに呆れた色がある。だが同時に、満更でも無さげであるのをゾロは気付いた。ほら、Aは分かりやすい奴だ。チョッパーとはまた違った照れ方をする。

少女は今"年頃"なのだ。だから、自分の気持ちを隠してしまうのも、悪態をつくのも仕方のないことだと許して欲しい。Aの顔は見えないが、電伝虫越しに大人組はAのふてぶてしい顔が目に浮かんで頬が緩んだ。

ある者は孫の成長を感じたように、ある者達は妹の成長を感じたように。

･

｢A、いつまでぶすくれてんだ。｣

コロシアムから出てきたルフィと合流してしばらく。王宮を進行形で目指している彼らだが、さっきからAの不貞腐れた顔は戻らない。その隣で元凶の男は満足気に笑ってる。その相反する2人を見てゾロは呆れて息が出た。