闇に焦がれる。【ONEPIECE】 (ページ7)

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苛立たしげな舌打ちをしたのはどちらだったか。

立ち寄ったレストランにて"妖精"に刀を奪われたAとゾロはそれを追いかけていた。その後をサンジと錦えもんも追っていたが、ここにいないという事はどこかではぐれたのだろう。

その妖精を追いかけている途中で目の前からやって来たのはレストランでも見たドフラミンゴの部下数人。2人して足止めを食らう訳にはいかないとAがその相手を買って出た。

｢ゾロ、私の刀も頼んだよ。｣
｢おう、任せとけ。｣

その時、Aはゾロの顔を一切見なかった。ゾロも去り際、背中越しに一瞥しただけだった。その一瞬、垣間見えたAの背中には黒がまとわりついていた。万物を飲み込まんばかりの黒にゾロはギョッとして思わず立ち止まり振り向いた。

もう一度Aを見ればいつもと何ら変わらない背中があるだけ。敵も街並みも全て変わりない。先程見た黒が嘘のように思える程に変化はなかった。

現実としてゾロの見たそれが本当ならば悪魔の実でなければ考えられない。だが、Aは能力者じゃない。ゾロのただの幻覚なのは間違いない。気の所為。自分の見た黒をそう思う事は難しかった。妙な胸騒ぎがして、いつまで経ってもこの場を去らないゾロを不思議に思ったAが｢どうした？｣なんて首を傾げる。口調も声も抑揚も話す時の顔だとかも全ていつも通り。

｢何でもねェ。｣

ザワザワとした胸騒ぎの正体が分からないまま、何故自分がこんなにもAを気にかけているのかも不思議なままゾロは今度こそ走り出した。

･

ゾロを見つけたのはコロシアム前だった。錦えもんとコロシアム内にはルフィの姿があって、電伝虫で一味と繋がっているらしい。ゾロから奪い返した刀を受け取る。

そうした時だった。街が破壊されていくのが目に入る。その爆音は徐々に大きくなり自分達の所へと近付いてくる。姿はまるで見えないがAはそれが誰の気配なのか分かった。元から人の気配に敏感だったAは見聞色の覇気も鋭かった。故に誰よりも早くに気付けた。

｢ドフラミンゴと……トラ男…？｣

Aがそう呟き終わると同時に彼らの目の前に何かが落ちる。視界を支配していた砂埃が晴れていくにつれてその光景が露となる。